<日本ハム2-5楽天>◇8日◇札幌ドーム

 新3番がノリに乗ってきた。楽天聖沢諒外野手(27)が、先発した田中将大投手(24)の開幕5連勝をアシストした。3回、無死満塁から適時二塁打を放ち、2点先制。流れを引き寄せた。昨年は不動の1番打者として盗塁王を獲得したが、今季は4月21日から3番に定着。8試合連続安打で打撃好調をキープし、チームの4連勝、勝率5割復帰に貢献した。

 体勢を崩されても、聖沢の打球はグングン伸びた。3回、無死満塁のチャンス。「三振だけはしないように、どんな球でも食らい付く」と、必死だった。2ストライクと追い込まれてからの4球目、木佐貫の決め球フォークに目いっぱい手を伸ばした。最後は右手1本になりながらもバットに当て、右翼越えの二塁打。「うまく(ボールを)拾えました」と、エース田中に2点をプレゼントした。

 4月21日から3番に起用され、52打数17安打、打率3割2分7厘と好調だ。それでも、現状についてこう話した。「今の僕が3番を打つようなら、チームはまだまだだと思います。(3番として)ミート力、パワーが足りない」。開幕後、4番ジョーンズ、6番マギー(現在5番)は固定されたが、田代打撃コーチが悩んでいたのは「3番」だった。候補だった枡田、銀次らも機能せず、本来は1番打者の聖沢を起用。その状況を謙虚に分析していた。

 昨年は不動の1番として活躍し、54盗塁で初のタイトルも獲得した。そして今季、「個人の結果はどうでもいいので、とにかくクライマックスシリーズに出たい」と強い決意で臨んだ。ここまで6盗塁。物足りない数字ではあるだろう。だが「今年は僕が盗塁しなくても、ジョーンズやマギーがいるし、長打で点が入りやすくなったので。気にしてないです」と言い切った。チーム全体を見渡し、いかに勝つかを考えている。

 プラス思考も功を奏した。開幕直後、1番から9番に“降格”した。それでも「状態は悪くない。9番でも足を生かせる」と気にするそぶりは見せなかった。逆に「僕が9番なら強いでしょ」とも言った。本人に打順の意識はない。だが足も生かせる3番聖沢、一発長打の4番ジョーンズ、広角打法の5番マギーが固まった。相手にとっていやらしいクリーンアップが完成しつつある。【斎藤庸裕】