<阪神0-1オリックス>◇14日◇甲子園
虎党の夢を砕く打球は、浜風を切り裂いて右翼ポール際に消えた。オリックス坂口智隆外野手(28)が甲子園初本塁打となる2号ソロを放った。5回1死からスタンリッジのスライダーを完璧にとらえ均衡を破った。1ボール2ストライクと追い込まれてからの一振りが、そのまま決勝点になった。
「何とかくらいついて次につなげようと思っていました。投手が全球種投げられるカウントだったので食らいついていった」
苦しい状態が続いていた。今季ここまで8試合を除き、連敗中も連勝中も「1番中堅」で起用され続けた。試合前まで打率は2割9厘。「チームに申し訳ないなと思ったこともありました」。遠征中は1人、室内で打ち込んでから試合に臨んでいた。試合前はバットのグリップに付着した滑り止めを落としながら、集中して自分と向き合った。
森脇監督の計らいで、中堅の大先輩からアドバイスを受けていた。甲子園での練習で福本豊氏(野球評論家)から身ぶり手ぶりで指導を受けた。阪急ブレーブスの中堅を守り、通算2543安打を放った大先輩の指導に結果で応えた。森脇監督は「入団からかわいがってくれているので、声をかけてやってくださいと言いました」と明かした。
虎の子の1点を守ったチームはこれで5連勝。最大9あった借金を4まで減らした。森脇監督は「素晴らしい本塁打だった。実績があるだけに苦しみ方は尋常じゃない。相手がどこであってもやることは一緒です」と話した。甲子園の虎も倒した。この勢いは本物だ。【池本泰尚】



