阪神ドラフト1位藤浪晋太郎投手(19=大阪桐蔭)が、苦手の左打者対策で新しい配球で臨むことが4日、分かった。右打者は被打率1割4分6厘と抑え込んでいるのに対し、左打者には同2割8分6厘。中西投手コーチは藤浪と話し合った上で、配球などをリニューアルする可能性を示した。次回登板の9日ロッテ戦(甲子園)から新藤浪で再加速する。

 黄金ルーキーがスケールアップする。ここまで4勝を挙げている藤浪の泣き所は、左打者。ここまでの登板で、左打者には右打者の2倍近い被打率を許している。前回登板し、最短の5回1/3でKOされた2日ソフトバンク戦でも、8安打のうち7安打が左打者によるものだった。

 投球内容を踏まえ、中西投手コーチは左打者対策に乗り出すことを明かした。「(対策は)必要だな。球種的なところでね。配球面を変える。今週の登板から、少し変えていくよ」と、これまでのスタイルから切り替えていく。藤浪とは登板後に、投球映像を見ながら配球について話し合ったという。前日3日から「キャッチボールから意識させている」と、すでに実戦を見据えた練習を実践。藤浪が新スタイルを習得すれば「もっと簡単に抑えられるようになる」と中西コーチは自信を持って話した。

 詳しい変更点については「企業秘密」だが、「左打者」「配球」というキーワードから方向性はうかがえる。これまで「内角にカットボール、外角にストレート」が中心だった組み立てから方向転換-。新スタイルはこれまでとは正反対に、直球を内に、変化球を外にと配することも考えられる。

 左打者に、外角直球を流し打ちで痛打されるケースが多かった。参考になるのが広島バリントンだ。過去2年間で20勝する右腕は、今季の右腕で最高の対左被打率1割6分4厘。その投球スタイルは、内角に直球を投げ込む配球が中心だ。一方藤浪は、左打者に内角直球を多投していない。

 また、一般的に左打者を苦にしない右腕が得意とするのが、外角のボールからストライクゾーンへ食い込む「バックドア」と呼ばれる変化球。藤浪が高校時代は「あまり外角で使うことはなかった」と話すカットボールを外角に配すれば、新たな武器となり得る。

 すでに先発投手の一角として、高卒新人離れした成績を残している。左打者を苦にしなくなれば、鬼に金棒だ。規格外の19歳がまたひとつ、成長のステップを踏む。【山本大地】

 ◆バックドア

 打者の外角ボールゾーンからストライクゾーンに切れ込ませる変化球。打者にボールだと思わせ、見逃しを誘う。一般の英語では「裏口」の意味。逆に内角ボールゾーンからストライクゾーンに切れ込む球をフロントドアという。