<西武2-0オリックス>◇21日◇西武ドーム

 再三、走者を背負いながらも、スコアボードに並べた7つのゼロが進化の証しだった。試合を振り返る菊池雄星投手(22)は、初めての感覚を味わった。「今までできなかった勝ち方。こういう形でも勝てたのは大きかったです」。12日の中日戦のように、9回1死までノーヒットの快投ではなかった。それでも、苦しみ、粘って、勝ちきった8勝目がうれしかった。

 瞳をうるませた、あの日とは別人だった。昨年8月15日のオリックス戦、打線の大量援護がありながら、先頭打者に四球を与えるなど、守りに入った投球を捕手の炭谷からベンチ裏で一喝された。「何を考えて投げてるんや!」。先輩が見せた迫力に感情を乱し、マウンド上で目を赤らめたまま投げた。

 菊池

 銀さん(炭谷)の言うとおりだと思います。僕が変わらなきゃ。自分で成長していかないといけないんです。

 リーグ戦再開の“開幕投手”の緊張からか、この日は武器の「カーブ、チェンジアップは良くなかった」と振り返る。それでも「思い通りにいかないのが野球」と開き直った。6回、無死から連続四球を与えたが、バルディリスを三振に封じるなど後続をねじ伏せた。「自分で迎えたピンチなので自分で抑える」と、完封した前回登板からの連続イニング無失点を16に伸ばした。

 渡辺監督は「苦しい投球だったが、彼が防御率トップという証しのようなピッチングだった」と目を細めた。22歳の誕生日を迎えた17日、真っ先に訪れたのは治療院。浮かれることなく、頭を占めたのは次の登板への準備だった。「プロに入った時は何歳?

 と聞かれて18歳って答えたらまだそんな年齢?

 ってなったけど、22歳だと周りの受け取り方も変わってくる。しっかりしないと」。表情には少しあどけなさが残るが、心身共に進化を証明する1勝だった。【久保賢吾】