<広島4-6巨人>◇25日◇マツダスタジアム
巨人原辰徳監督(54)が動いた。いや、試合を動かした。2点を追う8回、1イニングに2度のダブルスチールを成功させた。低迷していた下位打線を活性化させ、一気に4点を奪うビッグイニングをつくった。失敗を恐れない攻撃的采配で、巨人が勝利をもぎとった。
雨の降りしきる8回だった。頼みの4番、阿部が三振に倒れると、原監督がタクトを振った。2死一、二塁。ダブルスチールを狙わせた。モーションの大きい広島河内。本来ケアすべき同点の走者となる一塁走者も無警戒だった。連続で二塁へけん制してこないのも見抜いていた。二塁走者の亀井が、そのスキを突いた。「イチかバチかでした。流れの変わるプレーだったのでね」と言いながらも、楽々成功させた。
そこを足がかりに代打矢野の適時打で同点に追いつくと、再び仕掛けた。今度は松本哲がミコライオのモーションを盗んだ。「二遊間が離れていたし、狙おうと思っていた。準備はできていました」。またもやダブルスチールを成功させ、村田の勝ち越し2点適時打を引き出した。
1イニングに2度のダブルスチール。記憶をたどった原監督は「いつもあることではないでしょうね」と微妙な言い回しで振り返った。行けたら狙えというダブルスチールのサイン。それに応えられる選手がいてこその鮮やかな積極的攻撃だった。
原監督にとって、采配の原点は、しびれる場面での盗塁にある。東海大相模の1年生だった74年。夏の甲子園の初戦は土浦日大との熱戦になった。1-2で迎えた9回裏2死。安打で出た走者に、原貢監督は初球スチールのサインを出した。「砂ぼこりの中、しばらく見えなかったんだけど、審判がセーフって手を広げてね」。そこから追いつき、チームは延長16回サヨナラ勝ちを飾った。「あそこで初球、盗塁のサインを出すのかって衝撃的だった。あれが原点だから、怖いものが何もないんだ」。父の采配から学んだ積極性。それが、この日も勝利につながった。
指揮官は「よくつながりましたね」と、一気に逆転へともっていった打線を褒めた。雨の影響で、グラウンドの状況は良くなかった。それでもダブルスチールは成功し、試合にも勝った。その裏には、失敗を恐れない采配と、それを果敢に実行する選手がいた。【竹内智信】



