<中日1-2阪神>◇25日◇富山

 あっぱれ良太!

 男だ良太!

 5連敗で迎えた中日戦(富山)で同点の9回、新井良太内野手(29)が決勝の7号ソロをぶちかました。兄貴浩のゲキに、そして西岡のメールに応える一打で、エース能見との約束も果たしてみせた。さあ、2軍落ちを経験したスラッガーの復調ムードにも乗って、3差の巨人を追い上げるで~!

 新井良はチームバスの真横で取材対応していた。すると、頭上から「すごい、すごい!」とちゃかした声が…。1歳下の西岡がわざわざバスの窓を明け、いじりの“口撃”を仕掛けてきたのだ。2人はふとした瞬間に目を合わせ、心からの笑みを交換した。

 「連敗中だったし、なんとかという気持ちだった。頼むから入ってくれ、と」

 5連敗中という状況に加え、どうしても勝ちたい理由があった。舞台は富山。2年前の11年6月27日、当時の渡辺長助チーフスコアラーが遠征中に急逝した地だった。「そういう思いがないと言ったらウソになる」。1点リードを追いつかれた直後の9回、先頭で中田賢の高め142キロ直球をたたいた。弾丸ライナーが左翼席に直撃。2戦連発の7号ソロは決勝弾となり、「すべての面において良かった」と表情を緩めた。

 新井良

 熱い気持ちをもらった。オレ、本当にうれしかったんよ。あのメールは保存してあるもん。

 開幕4番を張った男は6月10日、不振という理由で2軍降格した。登録抹消を告げられた9日夜は大阪市内の料理屋で「期待してもらったのに…。打てなかったオレが悪い」と何度も自分を責め続けた。その途中、心配した兄貴浩からの電話もあった。「これだ、という形をしっかり作ってこい!」。数十分間に渡って激励され、あらためて再起を誓った翌日。今度は1通の長文メールが届いた。

 始まりは「これは試練ではありません。自分との戦いです。良太さんなら勝てます」。まだまだ続く。「悔しさを前面に押し出しましょう」「こういう時こそ上を向いて」。締めの段落を見た時、思わず胸が熱くなった。「今年は優勝します。その輪の中で一緒にはしゃげるように…」。西岡からだった。いじりいじられ、いつも笑いが絶えない関係。そんな後輩から届いた、照れ隠しの笑いさえも排除した一言一句の数々…。もう、一瞬たりとも下を向く暇はなかった。

 2軍で結果を残し、最短で1軍再昇格。復帰後初の勝利をバットで導き、西岡と笑い合った。今季26打数4安打、打率1割5分4厘で0本塁打と苦しんでいた能見登板試合でも、ようやく借りを返せた。「能見さんの試合で打てていなくて、『次は打ちます』と言って2軍落ちしてしまった。有言実行できて良かった。なんだかんだ言われていますけど、元気いっぱい頑張るので、熱い声援をお願いします!」。何度も仲間に助けられた。これからは助ける番だ。【佐井陽介】

 ▼阪神新井良が昨年9月2日広島戦、同4日巨人戦以来、自身2度目の2試合連続本塁打。今季7本塁打のうち、能見が登板時にアーチを放ったのはこの日の中日戦が初めてで、スタンリッジと藤浪が先発時に2本ずつ、小嶋とメッセンジャーの時に1本ずつ放っている。能見の登板時の成績は10試合で29打数6安打、本塁打1本、打点3、打率は2割7厘。ちなみに11本を放った昨年は能見の先発時に3本塁打を放っている。

 ▼阪神が地方球場の富山アルペンスタジアムで中日に勝ち、昨年からの地方球場での連勝を7に伸ばした。同スタジアムでは2連勝で通算6勝10敗。