<日本ハム6-5ソフトバンク>◇26日◇東京ドーム

 まさかまさかの幕切れだ。ソフトバンクが今季2度目のサヨナラ負けを喫した。守護神の千賀滉大投手(20)は9回を3者凡退に抑え、連続イニング無失点を34回1/3とし、救援投手ではリーグ最長だった03年西武豊田に並んだ。ところが新記録目前の延長10回、無死二塁から中村の一塁への悪送球により敗戦投手に…。2試合続けて頼みのリリーフ陣が失点し、ダメージが残りそうな3連敗となった。

 無人の一塁ファウルグラウンドを転がるボールを、ぼうぜんと見つめた。千賀が4月3日の西武戦から続けてきた連続イニング無失点が、34回1/3でついにストップ。新記録を目前にして、敗戦投手に…。天国から地獄へと突き落とされた。

 「悔しい。情けないです。良くはなかった。全体的に球は走ってなかった。(連続イニング無失点は)意識してないです」

 序盤は打線が二刀流ルーキー大谷に2発を浴びせ、逆転されたが9回に2点差を追いついた。そして若き守護神が登場。まずは3者凡退に抑え、パ・リーグタイ記録をマークしたまでは順調だった。だが、1死奪えば新記録という延長10回に落とし穴にはまった。先頭の小谷野に右越え二塁打を浴び、続く鶴岡に犠打を一塁手の中村が一塁へ悪送球してしまった。

 高山投手コーチは「これを乗り越えてもらわないと。岩崎も含めて、あいつらはよくやってるよ」とかばった。開幕直後の敗戦処理から出世し、チームへの貢献度は大きい。1度の失敗を、誰も責められない。

 昨年秋に右肩を痛めた。10月からの2カ月間、球を投げられなかった。本格的に投げ始めたのは年明けから。「ここまでのノースローは初めてですよ」と落ち込んでいた。

 そんな時に励みになったのが、同じ右肩痛からの現役復帰を目指している斉藤和巳3軍リハビリ担当コーチの姿だった。「あの人でもあれくらいやるんだと。自分もやらなきゃという気持ちになった」。尊敬する先輩を見て、懸命にリハビリに取り組んできたからこそ、今の千賀がある。

 前夜はファルケンボーグが打たれ、チームはこれで2試合連続の逆転負け。屋台骨を支えてきたリリーフ陣が踏ん張りどころを迎えた。「次こそは点を取られないようにしたい。やることは変わらない。ゼロで抑えることだけが、自分の仕事ですから」。千賀は気持ちを切り替え、また勝利につながる投球を誓った。【大池和幸】