<阪神7-4広島>◇28日◇甲子園

 マートンなら何とかしてくれる…。虎党の祈りが通じた。阪神もノーヒットノーランを食らいそうな展開から逆転勝ちだ。3点を追う8回、4番マット・マートン外野手(31)が逆転の2点適時打。不快指数100%の序盤から最後はスカッとうれしい六甲おろし。試合のなかった巨人との差を2・5に縮めた。

 19日ぶりの甲子園。地鳴りのような大声援に、マートンが放った快音はかき消された。鋭いゴロが遊撃右を抜ける。捕球した中堅赤松が尻もちをつき、逆転劇は確実となった。黄色いメガホンを打ち鳴らしお祭り騒ぎの応援団へ、お立ち台で日本語を叫んだ。

 マートン

 メッチャ、スキヤネン、コウシエン!

 勝機を逃さない。3点を追う8回1死一、二塁から西岡の一ゴロを松山が二塁悪送球し、二塁走者が生還。再び1死一、二塁から大和のバントが投手正面を突くも、二塁送球を遊撃安部がポロリ。流れは完全に阪神。ここから1点差に迫り、4番に2死二、三塁の好機がプレゼントされた。

 マウンド上には205センチの守護神ミコライオ。2ボール1ストライクからボール球の155キロに空振り。追い込まれ、続く高め156キロをファウルした場面に勝負のあやが隠されていた。「あそこでなんとかファウルに逃げられたから。2ストライクからは真っすぐ狙いで大振りだけはしないように意識したよ」。センター返しに徹した結果、低めスライダーに反応できた。逆転の中前2点打でこの回一挙6得点をけん引。3連戦の初戦で相手の勝ちパターンをつぶしてみせた。

 常に気遣いと思いやりを忘れない男だ。6月中旬の札幌遠征の試合前。宿舎出発前に行うウエートトレーニングよりさらに前、午前中のうちに土谷トレーナーと病院を訪れ、鎌田トレーナーと第1子を出産したばかりの愛妻を祝った。ママに花束を、パパにはチョコレートを渡すため、練習前の貴重な時間を割いたのだ。2男1女の父親として「2人目はもっと楽になるよ」とアドバイス。その場で撮った記念写真を鎌田トレーナーは携帯電話に保存している。

 両親にも最高のプレゼントを送った。26日夜に来日した両親が甲子園で今季初観戦。6回まで無安打に封じられていた武内から、7回には反撃の中前適時打。2安打3打点の大暴れに「うれしかったよ」と照れ笑いだ。本格的に夏を迎えても、マートンの勢いは止まらない。【佐井陽介】