<オリックス3-2楽天>◇28日◇京セラドーム大阪

 野手最年長34歳やりました!

 オリックス高橋信二内野手が代打逆転サヨナラ打を放った。1点を追う9回2死満塁から、右越えの2点適時二塁打。1軍復帰即スタメンも、直前に見逃し三振に倒れたT-岡田の尻をぬぐい、代打を告げられた山本の思いも背負った。ナインに慕われる「信二さん」が一振りで試合を決めての連敗脱出。さあ調子に乗っていこうぜ!

 歓喜の輪の中心で、野手最年長は豪快に水を掛けられた。オリックス高橋信が一振りでチームを救った。1点を追う9回2死満塁。「変化球も頭にあった。振り負けないように」と外角高めの直球にバットを合わせた。夢を乗せた打球は、ライナーで右翼手の頭上を越えた。

 直前に見逃し三振に倒れたT-岡田の尻をぬぐった。「僕としてはT-岡田が決めてくれると思ったんですけどね(笑い)。図に乗らずに調子に乗って頑張ります」。1軍昇格即スタメンも無安打に終わった後輩をいじり、奮起を促した。

 慕われる理由がある。高橋信は代打を告げられると、必ず代打を送られた選手に一言、謝る。代えられたい選手はいない、その悔しさもすべて背負い込んで打席に立つ。この日も代打を送られた山本に「すまんな」と一言。山本の悔しささえもバットに乗せた。

 ベテランらしく、難しい代打で決めた。勝負強さだけでなく、器用なバットコントロールも併せ持つため、決定的な場面だけでなく、チャンスメークの場面で登場することもある。読めない出番に備え、スイッチを入れては切り、切っては入れる。「体より心が疲れるよ」。投手戦を予想し、終盤に照準を絞って、5回から始めた準備が実った。

 勝負師の一打で起死回生のサヨナラ勝ち。連敗を止め、森脇監督も「経験の詰まった素晴らしい一打」とヒーローをたたえた。敗戦ムードに包まれていた一戦を「信二さん」が救った。【池本泰尚】