<阪神7-4広島>◇28日◇甲子園

 甲子園が勝たせてくれた-。約3週間ぶりに戻ってきた聖地の女神が、最後の最後で虎にほほえんだ。初回、送りバントをミスした大和は、7回にチーム初安打から盗塁で反撃の1点を刻み、8回の逆転劇には相手ミスに助けられた。和田豊監督(50)も甲子園のファンの後押しに感謝。見えない力も強力な味方だ。

 地獄から天国だった。虎党の鬱憤(うっぷん)が、8回に歓喜となって爆発した。伊藤隼が打つ。桧山が選ぶ。高まるボルテージに、西岡が、大和が、相手失策を呼んだ。マートンで逆転し、トドメは今成だ。甲子園での試合は9日ロッテ戦以来19日ぶり。「ワッショイ」が止まらないスタンドの勢いに、指揮官も頭を下げるばかりだった。

 和田監督

 甲子園のファンの声援が、エラーを呼んだ形になった。あの時点で3点差あって、1本ヒットが出るだけで、押せ押せの空気になった。かなり大きいんじゃないかな。

 汚名がちらついた。6回まで広島武内に無安打。4年目右腕にプロ初勝利どころか、快挙演出の影もあった。「とにかく1点でも多く取ろう」。攻めのタクトが眠っていた虎を起こした。7回はスタメンマスクの日高に、同じ左打ちの今成を代打起用。打力を信じてそのまま今季2試合目の捕手を任せ、ダメ押し打につなげた。神様桧山を迷うことなく送り込み、劣勢でも筒井と渡辺を投入して反撃を信じていた。

 執念は通じた。7回のチーム初安打は大和だった。「出塁することだけを考えて。普段どおりに」。1死から果敢に盗塁を仕掛け、直後にはマートンの中前打で反撃のホームを踏んだ。「(無安打を)気にしてました」。

 このままでは終われない意地があった。1回、立ち上がり不安定な武内が西岡にいきなり四球。だが、続く大和は送りバントをファウル…。カウント1-1となった3球目もバントの構えで見送り、西岡は盗塁失敗した。流れをつかみそこねた拙攻が招いた重圧が回を追うごとに増していた。8回はプッシュバントが投ゴロになった。ヒヤリとしたが、相手失策を誘う幸運から逆転の10人攻撃にも一役買った。

 和田監督

 相手のミスにつけこんだ形だけど、勢いづいて終われた。今日の勝ちは本当に大きい。

 甲子園4戦全勝の6月は9勝6敗1分けで月間勝ち越し。貯金も再び2桁に乗せた。首位巨人とは直接対決3連戦で逆転可能な2・5ゲーム差へジワリ。不快指数が高まる拙攻でも、最後は見えない力が流れを変えてくれる。阪神には百万馬力の甲子園がある。【近間康隆】