<日本ハム0-4オリックス>◇6日◇札幌ドーム

 「だっぺ」が帰ってきた。オリックス井川慶投手(33)が8回途中まで無失点に抑える好投。3勝目を挙げた。変化球のキレ、制球ともに抜群で今季最長イニングを投げた。阪神のエース時代を思い出させる投球で、逆襲のキーマンになりそうだ。

 10年前の輝きを思い起こさせる投球だった。井川が勢いのある日本ハム打線を封じた。チェンジアップの抜け、スライダーの切れ味は抜群。勝負どころの直球もコースに決まった。8回裏2死で陽岱鋼に二塁打を許し、ここで降板。それでも4安打無失点は、十分過ぎる内容だ。

 「味方が援護してくれたので、楽に投げられた。(疲労は)全然、大丈夫です」。

 今季最長イニングを投げ球数も初めて100球を超えた。オフの左肘手術を乗り越え、完全復活を予感させた。それも「だっぺ」の愛称で呼ばれた阪神エース時代に近づく快投だった。

 直球の最速は140キロ台前半。猛虎をリーグ制覇に導き、沢村賞など華々しいシーズンだった03年のような荒々しさはない。しかし井川には培った経験があった。この日の投球でスパイスになったのは、ツーシームだ。捕手の伊藤はうなった。「僕はストレートを要求しているが、相手の打者の反応を見ながら、ツーシームで微妙にずらす。走者を背負った時のギアの変わり方がいい」。2、4回のピンチでは、低めを丁寧に突く姿が光った。日本球界復帰2年目で試合勘を取り戻した。

 試合終了直後には、西本投手兼バッテリーコーチとベンチ前で喜びを分かち合った。ヤンキース移籍後は、マイナー暮らしの苦しい日々が続いた。オフになると、故郷の茨城・大洗に同コーチを呼び、フォームの修正に励んだという。03年からの師弟関係を継続し、今季は同じユニホームを着る。ベストの姿を取り戻そうとする努力が実を結びつつある。

 「(連勝を)意識していた。ウチのチームはドンドン勝つだけ。次もいつも通り、試合を作りたい」。左腕の好投でリーグ戦再開後、初のカード勝ち越し。順当ならば、次回登板は13日ソフトバンク戦で、34歳の誕生日だ。最下位脱出でバースデーを迎えられるか。チームを勢いづけた勝利であることは間違いない。【田口真一郎】