<阪神6-2中日>◇9日◇沖縄セルラー那覇
スコールは降らなかった。代わりに、咲き誇るハイビスカスもかすむようなきらめく白星が舞い降りてきた。夏満開の沖縄で阪神エース能見篤史投手(34)がスイスイと快投。7回まで8奪三振の2失点。5月の愛媛・松山、6月の富山に続き、地方球場でがっちり勝ち名乗りを受けた。記念すべき猛虎沖縄1勝目に、エースがその名を刻んだ。能見さーん、8勝目、はいさーい!
島人(しまんちゅ)たちも、エースの投球に酔いしれた。7回のピンチを最少失点で切り抜けると、裏の攻撃に備えジェット風船を準備していた南の島の阪神ファンからは大歓声が起こった。「能見ナイスピッチング!」。甲高い指笛の音も鳴り響く。7回2失点でチームトップの8勝目を挙げ「暑かったですねえ」。安心感あふれる投球に、初めて阪神主催の公式戦を迎えた沖縄の人々も大満足の一夜となった。
沖縄セルラー那覇を最も沸き上がらせたのが、最大のピンチを迎えた7回だった。4点リードながら、井端の安打から四球、安打で1死満塁。1発が出れば同点の局面でエースが真価を発揮した。ここまでいい当たりを放っていた荒木をフルカウントから最後は二ゴロ。一塁走者を封殺する間に1点をかえされたが、1発のあるクラークはフォークを4球続け、空振り三振に斬った。最後のひと踏ん張りを見せ、マウンドを降りた。
13年の能見はこの島から始動していた。キャンプ地の沖縄・宜野座に先乗りした1月下旬。能見はチームの誰よりも早く、合同自主トレで一番乗りでブルペンに入った。WBC日本代表に選ばれ、早く仕上げる必要があったとはいえ、いきなり63球も投じた。打撃練習もみっちり行った。この日も相手投手をひるませ1四球を奪った。エースと呼ばれることに関し「そういうピッチャーじゃない。まだまだです」と謙遜するが、自覚たっぷりの始動をしたのが沖縄だった。
キャンプ以来、5カ月ぶりに戻った沖縄で「エース能見」を確かに示した。巨人キラーは次回登板で、中5日で15日巨人戦に向かう見込みだ。試合前からすでに、初めて公式戦のトラを迎えるはずのファンたちから「今日は能見だから大丈夫さあ」と信頼されていた。この夜の快投でより一層、沖縄の虎党たちはその思いを強めたはずだ。【山本大地】



