<オリックス3-0楽天>◇17日◇京セラドーム大阪

 最後の打者を見逃し三振で締めると、グラブをポンとたたいて喜びを表現した。オリックス金子千尋投手(29)が9回3安打無失点の快投。11奪三振で、今季2度目の完封勝利を収めた。汗をぬぐうと「完封は結果。直球のキレがよかった。左打者の外角を中心に投げられた感じです」と淡々と振り返った。

 最大のピンチでギアが上がった。2回無死二、三塁。「できるだけ前に飛ばされないほうがいい。ちょっとだけ三振を狙ったんじゃないけど、しっかり投げた」と枡田、松井を連続の空振り三振。嶋を中飛に打ち取り、窮地を脱した。

 エースは探求心で投球スタイルを築き上げた。他の投手の投球を見ると、すぐに試してきた。「骨格とか体のつくりが違うので、もちろんすべては無理ですが、試してみることはあります」。多彩な球種、調整法。口に出すことは少ないが、無数の引き出しを開けベストな選択を続けている。

 エースの独壇場だった球宴前最後の試合を終え、森脇監督も「素晴らしかった。2回は1点は覚悟したけど、さすが金子だ」と最敬礼。対楽天戦の連敗を4で止め、借金3で折り返した。やはり金子は、オリックスのエースだ。【池本泰尚】