<ソフトバンク5-3日本ハム>◇26日◇ヤフオクドーム
ガッツ内川の骨折アーチを見たか!
ソフトバンク内川聖一外野手(30)が4-3の7回に10号ソロで日本ハムを追撃した。右肋骨(ろっこつ)を骨折しながら出場を続ける男が「鷹の祭典」のキャッチフレーズ「ガッツメラメラ」を地でいった。日本ハム戦の連敗を7でストップ。チームは連勝で4位浮上した。
7回の攻撃前。客席に浮かんだ「ガッツメラメラ」の人文字。内川の闘争心にスイッチが入った。1死。吉川の2ボールからの高め直球を、バットではらうようにして反応。最後は右手を離して、左翼席まで打球を運んだ。吉川をこの回限りでベンチに追いやる、追撃のソロ。「いい追加点になったと思います」。唇を結んだままダイヤモンド1周。痛みをこらえていた。
とても右肋骨(ろっこつ)を3本亀裂骨折していると思えない。コルセットと痛み止めの薬が欠かせない状態で、アーチを描いた。右手で押し込むと患部にダメージがくる。インパクト直後の“手放し”で圧力を逃し、それでスタンドインした技術。低めならスタンドまでは厳しい。高め直球という、おいしい球を逃さない選球眼、読みもあった。
骨折アーチで2年ぶりに2桁本塁打に達した。通算437発の秋山監督が絶賛した。「あの状態の中で打てるところは技術だろうし、自分のスイングができない中、勉強だと思ってやればいい」。指揮官も西武での現役時代に似た経験がある。初めて40発を放った85年のこと。「シーズン終盤に右人さし指を突き指して、マスコミはそう書いたんだけど、実は指を開いて腱(けん)を縫った。アルミの銀のカバーをしてテーピングして出てた。でも打とうと思えば打てるんだ」。どんなに厳しくても、試合に出られる状態ならヒットを打つのが一流。内川は昨年も右薬指を突き指しながら出場した。試合に臨む姿勢とその技術に背番号「1」の魂は受け継がれていた。
客席には大分・松岡小2年で野球を始めた「松岡少年野球クラブ」の9人の姿があった。同チームの日名子(ひなご)幹正君(12)が始球式に当選し、やって来ていた。内川は「一時は人が集まらず、最近人が増えてきたそうですよ」。試合前に「頑張ってな」と握手を交わした後輩たちを勇気づける1発にもなった。
ユニホームを配布する「鷹の祭典」は今年4試合すべて本塁打が生まれ、昨年から“5戦連発”。ダイエー時代の04年「白の奇跡」にルーツがある人気企画は10年目を迎えた。30試合目を数える中、実に22試合と高確率でアーチが発生したのは、ファンとの一体感があってこそ。燃えるような満員観衆の声援に内川がガッツで応えた。【押谷謙爾】



