<広島6-5ヤクルト>◇26日◇マツダスタジアム
広島堂林翔太内野手(21)が、汚名返上のアーチを放った。4-4の8回、先頭でヤクルト木谷の代わりばなを捉え、左越えの5号ソロを打ち込んだ。2回の守備で、2死三塁でタイムリー失策を犯していたミスを取り返した。9回表に追いつかれて、延長戦に突入した激闘は10回裏2死一、二塁から丸が中前にサヨナラ打を放ってケリをつけた。
汚名返上の1発だった。4-4の8回、堂林への期待は「これ」だった。先頭で打席に立つと、代わったばかりの木谷の7球目だった。抜けたフォークはど真ん中へ。痛烈な打球は、左翼手ミレッジが追うのもあきらめる、左中間スタンドへの5号ソロとなった。直前には右翼ポール際へ、5回の3打席目には左翼ポール際への大飛球を放っていたが、勝負どころでしっかりと打ち直した。
ただでは終われなかった。痛恨のミスは、先制した直後の2回の守備だ。2死二塁で捕手会沢がけん制したボールは右中間に転がり、走者が進塁。嫌な空気が漂うと、流れをひきずるかのように、堂林は中村の打球をトンネルし同点に追いつかれた。だからこそ、バットで挽回するしかなかった。
大舞台でひと回り成長した。今年もプラスワン投票で、2年連続の球宴出場を果たしたが、直前まで後悔していた。「今思えば、もっといろんな人に話を聞いておけばよかった」。滑り込みで出場を決めると、同じ過ちは繰り返さなかった。
仲介役になってくれたのはヤクルト宮本だった。「お前は本塁打も打って、打率を残す選手になるんじゃないか」と、今季、2000安打&400本塁打を達成したDeNA中村紀を紹介された。19歳離れた先輩と打撃理論を語り合うと、1つの自信が生まれた。堂林はボールを右手でつかむ感覚でバットを振る。そのことを告げると、中村紀も賛同してくれた。「自分は間違ってはいない」と思うと迷いが消えた。
チームは負の連鎖を断ち切れず、堂林の勝ち越し点を守りきれなかった。だが、前半戦で低迷した若武者の覚醒は、大きな価値がある。「借金」を返していくのはこれからだ。【鎌田真一郎】



