<楽天8-1ロッテ>◇27日◇Kスタ宮城

 球団新は「星野チルドレン」の産物だ。4年目の楽天戸村健次投手(25)が、8回1失点と好投。自己最多のシーズン4勝目を挙げた。打線も1点を追う2回にマギーの19号同点ソロから“サイクル5連打”で一気に逆転する破壊力を見せつけた。貯金を球団最多の14とし、リーグ最速で50勝到達。2位ロッテとのゲーム差を4に広げ、首位独走態勢に入った。

 星野監督と戸村は、がっちりと握手を交わした。5点リードの8回、戸村が四球と捕逸で無死二塁のピンチを招く。しかし落ち着いていた。「四球を出してしまったのは仕方がないので。開き直って投げられた」とストライク先行で打たせて取った。クリーンアップをいずれもフライで打ち取り、無失点。ガッツポーズでベンチへ戻った。普段は厳しい星野監督からは「雨の中でよく粘った」と褒められた。

 09年のドラフト1位右腕は、プロ3年で3勝。おとなしく、優しい性格で、星野監督の求める「強さ」が足りなかった。転機は昨秋の秋季キャンプだ。「AKB闘将ファイブ」と名付けられ、強化投手の1人に指名された。連日の1時間ノックで鍛え上げられた。その中で一番声を出していたのが戸村だった。簡単なゴロが飛んでくると「楽勝、楽勝~」と闘将星野を挑発するほどだった。

 その“反抗”がむしろ成長だった。「だんだんと(反応が)返ってくるようになったな。会話ができるようになった」(星野監督)。厳しいと恐れ、コミュニケーションがうまくとれない時期もあった。だが今は違う。戸村は「あの(秋季キャンプの)ノックがあって、監督ともよく話せるようになりましたね」と振り返る。だから今季、「監督に『戸村は変わったな』って思われるように頑張りたい」と言えた。

 そしてようやく、実力を発揮できるようになった。「気持ちで負けないように常に心掛けてます」。以前までは、走者を出して崩れ始めると深く考え込む癖があったが、最近は「あまり考えてない」と自信を持って投げている。この日も1回以外は走者を背負った場面でことごとく粘った。「あいつらしいな」と同監督からも認められた。

 先発の駒が増えてきたことも大きかった。チームには14勝無敗のエース田中がいるが、クライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜いていくには、2枚目、3枚目と先発陣の固定が求められる。戸村に安定感が出てくれば、厚みは増す。期待の右腕の活躍で球団史上最多の貯金14とした。星野監督は「14で球団記録?

 まだまだ恥ずかしいな」と厳しかったが、手をかけた選手たちは着実に力をつけている。【斎藤庸裕】

 ◆星野チルドレンの去年と今

 昨季はプロ7年目の銀次と枡田、プロ4年目の辛島らがブレーク。守備に難のあった銀次と枡田を起用し続けると、銀次は打率2割8分の結果を残してレギュラーに定着。枡田は終盤にケガで離脱したが、2割9分5厘の結果を残した。辛島も先発で8勝を挙げる活躍を見せた。今季は、戸村がここまで4勝1敗。著しい成長を見せている。