<広島4-5巨人>◇9日◇マツダスタジアム
巨人が、優勝へのマジックナンバー39を点灯させた。敵地での広島戦は4点を追う展開となったが、中盤以降に全員がつないで追い上げた。1点差とした8回、重圧に負けた広島守備陣にミスが重なり2点を奪って逆転した。シーズンを勝ち抜くすべを熟知する原辰徳監督(55)が、夏場に入り厳しくタクトを振り、阪神を突き放した。連覇へのカウントダウンがいよいよ始まる。
「…そうですか」。原監督はマジック点灯に興味がなかった。「マジックは、5以下になったらコメントします。特にない」で話題が終わった。「全員で野球をしている点では、本来の野球ができた。続けていきたい」と、つなぎを駆使した逆転勝ちを評した。主導権を相手に渡した先発小山に「もう少しできる人だと思う。彼がどう受け止めるか」と、苦言を呈するのも忘れなかった。
長丁場を勝ち抜くペース配分を熟知している。2・5ゲーム差で迎えた、7月2日からの阪神3連戦。雨で1試合中止となったが、甲子園で2勝し4・5差に広げた。4日の試合は、ボウカーの犠飛で奪った1点を守りきる会心の勝利だった。
試合後、チームは選手宿舎で遅い夕食をとった。スポーツニュースの時間になった。ハイライトでボウカーが大映しになった。気の優しい長野が「ジョン(ボウカー)、ナイス!」と大きな声を出すと拍手が起こり、最後は全員の喝采になった。主役の助っ人は照れくさそうに頭を下げたという。
光景を穏やかに見つめていた原監督だったが「まだだ」と引き締めた。「甲子園で、阪神に2勝できたことは、非常に素晴らしいことだが」と前置きしてから続けた。「4・5は、ゲーム差とは言えない。すぐにひっくり返る。5以上となって初めて、ゲーム差と言える。そんなに甘くない」。リーグ史上最多の13ゲーム差を逆転して優勝した、08年の経験則がある。ここから強いムチを入れた。
杉内、沢村が好投していても、イニングの途中で交代させた。絶大な信頼を置くマシソン、山口、西村でも、走者を許したら即交代させた。ベテランの調子が落ちたと見るや、すぐに威勢のいい若手と入れ替えた。真骨頂は7月28日の名古屋。プロ初完封が目前だった菅野に対し、8回2死満塁、2ボールとなった時点で高橋由を代打に送った。シビアな采配で1-0の勝利を収めても「伝えて、準備させてあった。予定通り」と平然としていた。
チームの結束に目を細めると同時に、引き締めを誓った7月4日の夜。そこから1カ月強で、阪神との差を8・5にまで広げた。巨人に“馬なり”はない。ロングスパートでゴールまで駆ける。【宮下敬至】
▼巨人に優勝マジック39が点灯した。2位阪神は残り48試合に全勝した場合、最終100勝42敗2分けで勝率7割4厘。巨人は残り阪神戦7試合に全敗しても他カードで39勝すれば、最終100勝41敗3分けで勝率7割9厘となり、阪神を上回る。これで2位以下の5チームに自力Vがなくなり、巨人のM39が点灯した。巨人にとって8月9日のM点灯は、8月3日にM32が出た90年以来のスピードで、原巨人では02年の8月13日を抜いて最速となった。なお、現日程での最短胴上げは9月1日。



