<日本ハム1-5ロッテ>◇11日◇札幌ドーム

 日本ハムが、またしても「浮上のきっかけ」を手放した。吉川光夫投手(25)が6回2/3を投げ、3失点で自身5連敗。12球団ワーストの10敗目を喫した。打線も3回に稲葉の適時二塁打で奪った1得点のみ。クライマックスシリーズ出場圏内の3位西武とも、再び6・5ゲーム差。前日10日はサヨナラ勝ちに沸いたものの、弾みをつけることはできず、一転、チームには重たい空気が流れた。

 サヨナラ勝ちの余韻は、どこにもなかった。歓喜のウオーターシャワーの“跡地”に、ロッテの勝利の輪ができた。栗山英樹監督(52)は「取りたいゲームだった」。悔しさが、一言に集約されていた。

 先手を奪えるチャンスを、自分たちで放棄した。2回2死満塁の好機に陽岱鋼が空振り三振に倒れると、直後の3回に先発の吉川が3連打と押し出し四球などで2点を失った。6回にも1死二、三塁の好機を逸すると、続く7回に連打でピンチをつくり、2番手谷元が追加点を奪われた。自身5連敗、12球団ワーストの10敗目を喫した吉川は「もったいなかった。しっかりと打者に向かっていけるようにしたい」と猛省した。

 この日のように投打がかみ合わず、常に劣勢を強いられる日々が続く。7月24日に再開した後半戦は、17試合を消化して、先発投手に白星がついたのが8月6日西武戦の木佐貫、たった1度だけ。序盤に先制を許してゲームが壊れるか、逆に粘っても打線の援護がない。栗山監督は「守りと攻撃の関係というのがあって…。(吉川は)余計に抑えないといけないと力が入ったのかもしれないけど、それを超えてくれるのがエース。オレも悪いし、あいつも反省しないといけない」と苦虫をかみつぶした。

 浮上のきっかけにするはずだった前日のサヨナラ勝ちは、もう過去のものになった。栗山監督は「(この日の敗戦で)嫌な流れになっちゃう可能性がある。そうならないようにしたい。こうやって勝ったり負けたりしている中で、必ず(波が)くるから。落ちないように」と、前を向いた。風向きが変わるのを、信じて。【本間翼】