<中日0-1阪神>◇11日◇ナゴヤドーム

 阪神藤浪に白星をつけたのは、不振に苦しんでいた4番マット・マートン外野手(31)だ。延長10回表2死一塁。左中間へ、決勝の適時二塁打を放った。巨人との8ゲーム差は変わらなかったが、13打席無安打だった主砲にとっても待望の一打だった。

 ボールとバットが衝突した瞬間、一塁走者鳥谷は脇目も振らず走りだした。マートンの大飛球が左中間フェンスに直撃する。中継された返球が届いたころには、鳥谷がホームベースを走り抜けていた。欲しくて欲しくてたまらなかった1点だ。4番マートンの表情にも充実感が漂った。

 「特に早いカウントではボールを強くたたこうと思っていたよ。初対戦したピッチャーだったし、自分の目を信じて、来た球を強く打とうと意識した」

 前日10日は延長12回まで続いた4時間55分の戦いを制した。一夜明け、試合は再び9回で決着がつかず。両チーム無得点のまま迎えた10回2死一塁だった。4番としては一気に決着をつける一打を狙ってもおかしくない場面。初対戦した中日小熊の初球、内角高め139キロを強振し、適時二塁打で試合を決めた。快投した藤浪に白星を贈り「彼はいつもそう(熱投)してくれるからね」と喜んだ。

 スイングにこだわりがある。「投球されたボールの軌道を反対方向からなぞるように、バットを滑らせるんだ。ボールとバットが当たってからも、ずっとその軌道から外れないようにスイングしているよ」。ボールの軌道にバットを合わせ、ミートする確率を高める。相手投手に限らずブレない確固たる打撃理論が、虎の4番を支えている。

 球宴中にはDeNAブランコと長々談笑。「自分は一、二塁間へのヒットばかりしか打てないから、ホームランの打ち方を教わりにいったんだ」と謙虚に照れ笑いしたが、猛虎の4番としての立ち位置を築きつつある。13打席連続無安打からの決勝打。和田監督からは「あそこで決めるのが4番打者。4番の仕事をしてくれた」と絶賛された。

 前日は3番鳥谷が決勝打を決め、この日は4番マートンだ。水谷チーフ打撃コーチも満足げだ。「やっぱりクリーンアップが打ってくれな。この打線の中で経験があるのは藤井を除けば、クリーンアップの3人ぐらい。これを続けてくれればいい」。打線の中核に火がともれば、まだ逆転Vも夢ではない。【佐井陽介】