<阪神3-1広島>◇15日◇京セラドーム大阪

 あんたが戻れば、また巨人を追いかけられる!

 109日ぶりの復活弾。左膝手術から復帰3戦目の阪神福留孝介外野手(36)が、京セラドーム大阪右翼5階席に超特大アーチを届けた。西岡も今日16日には1軍に戻ってくる。厚くなった布陣で、熱い再点火だ。

 福留が帰ってきた。豪快に帰ってきた。4回2死。広島中村恭の初球をフルスイングした。内角速球を完璧にとらえた。打球は右翼5階席まで飛んでいった。復帰後初安打が推定飛距離135メートルの特大アーチ。チームが無安打に抑えられていた停滞ムードをぶち破った。

 「自分のスタイルとしてどんどん振ってきたし、初球からいった方が結果が出ることも多いから」

 俺が流れを変える-。スイングにはそんな決意が垣間見えた。2回の第1打席でも初球をフルスイングした。139キロの速球にタイミングが合わず、背番号が見えるほど回転した。福留が離脱していた3カ月間、突っ走ってきたチームは今、立ち止まっている。それを敏感に察知して、積極性を示した。

 5月3日ヤクルト戦、中前適時打を放って走りだした際に左膝に衝撃が走った。半月板損傷。多くのアスリートが悩まされる故障であり、手術をせずに復帰する選手もいる。だが、福留の半月板は亀裂が縦方向に走っていた。水平断裂ならば回復も早いが、重傷の部類に入るものだった。

 ただ、手術で膝を開いた医師が患部の状態を見て、言ったという。

 「思ったより、いいな」

 不幸中の幸いだった。グラウンドに立てる。また打てると信じてリハビリに励んだ。

 そんな中、種子島の榕(あこう)スポーツ少年団の子供たちから手紙が届いた。限られた団員数、限られた練習場所で頑張る子供たちに、かつて、ボールとバットを差し入れした。その感謝と激励の思いがつづられていた。

 「ケガをしたと聞きました。痛いのですか。治るように願っています」

 子供たち、1人、1人の思いが込められていた。何度も何度も、書き直した跡が残っていた。

 「ケガをして、ここまで1人ではできなかった。監督、コーチ、スタッフの方々、権田さん(トレーナー)などたくさんの人に助けてもらった。今まで打った中でも感謝の大きいホームランだった」

 家族、友人、関係者、多くの励ましに触れた3カ月。そんな人たちに今度は福留が夢を返していく。【鈴木忠平】