<阪神6-2ヤクルト>◇18日◇京セラドーム大阪

 巨人の優勝マジックを、ひとまず消したったでぇ。虎が4連勝だ。阪神藤浪晋太郎投手(19)が6回2失点と、苦しみながらも9勝目。ピンチの連続も粘りに粘った。巨人が負けたため、自力優勝の可能性が復活。まだ6・5ゲーム差とはるか先だけど、ちょっとばかりミラクルを期待したくなっちゃう!?

 先輩に助けられ、励まされ、藤浪が踏ん張った。巨人のマジックを消し、2ケタに王手をかける9勝目。それでも「内容が内容なんで。勝ちを付けてもらったことはありがたいですし、プロ野球なんで勝てたのはいいことなんですけど…。付けてもらった星。今後は自分の投球で勝てるようにしないと」と笑顔はなかった。

 左打者を並べてきたヤクルト打線に、1回に先制を許した。8月に入り続いていた連続無失点は、16イニング目であっさり途切れた。2回に逆転してもらっても、毎回のように走者を背負った。「対相手よりも対自分になってしまった」と苦しんだように、11日中日戦で自己最長の9回、132球を投げた姿はなかった。正念場は3点リードの5回1死満塁。前日17日に母校大阪桐蔭の連覇の夢を砕いた明徳義塾OBの森岡。カット、カットと続けた後、最後は高め直球で投ゴロ併殺。後輩たちの敵も討ち、バレンティンの前で最大のピンチを切り抜けた。実は結果オーライ。「甘い球を打ち損じてくれた。守備にも助けられました」と苦笑いを浮かべてベンチに戻った。

 ピンチで光る勝負強さ。規定投球回数におよばないが、防御率2・59はセ4位に相当。17勝無敗の楽天田中と同様、満塁での被打率はゼロ。どんな状態でも、試合をつくる。先発投手として最も必要な能力を改めて証明してみせた。

 ドーム球場では3連勝。昨夏の甲子園を制したように、暑い夏に強いイメージがある。それでも記録的な猛暑の今夏、ドーム開催が続く日程はプラス材料。トレーナーによると「この時期は日光に当たるだけで、体力の減りが違う」という。この日程を生かし、屋内で走り込みやトレーニングを増やすことで、体力強化ができている。さらに言えば、食欲が大きく減ることもない。屋外球場の練習では室内で通常メニューを行うなど夏対策をこなし、8月は無傷の3連勝という結果につながった。

 優勝マジックが消えたとはいえ、巨人の独走は変わらない。「(デーゲームだった)巨人の試合は見てたので、知ってました。できるだけいいピッチングがしたかった」と、気持ちを込めてマウンドに上がった。和田監督は「月末に(巨人と)直接対決がありますから。そこまで離されないように、少しでも縮められるように」と表情を引き締めた。ルーキー離れした右腕が、逆襲の中心にいる。【山本大地】

 ▼藤浪が9勝目を挙げた。高卒新人の9勝以上は07年田中(楽天=11勝)以来で、セ・リーグでは67年江夏(阪神)以来、46年ぶり。ドラフト制以前を含め、阪神の高卒新人で9勝以上は江夏に次いで2人目。8月の藤浪は3戦3勝で防御率0・86。ドラフト制後、8月3勝した高卒新人は72年竹内(大洋)87年近藤(中日)12年釜田(楽天)に次いで4人目。堀内(巨人)江夏が1勝、松坂(西武)も2勝しかできなかった「暑い8月」に白星を伸ばしている。