<ロッテ4-3日本ハム>◇1日◇QVCマリン

 日本ハムは今季4度目のサヨナラ負けで3連敗、ロッテには同一カード3連敗となった。先発の吉川光夫投手(25)は7回を自責点0と好投したが、5回に小谷野の失策から3失点。同点の6回以降は打線も振るわず、最後は4番手で登板した石井がサヨナラ打を許した。9月反攻のきっかけはつかめず、クライマックスシリーズ圏内の3位との差も5ゲームに広がった。

 持ち前のハツラツさを一瞬で失った。栗山英樹監督(52)は、おもむろにベンチから腰を上げた。視線を下げ、ベンチ裏へ足早に消えた。「グァーンと殴られたような負けだった。久々にしゃべる言葉が出てこない」。延長突入寸前の9回2死から、今季4度目のサヨナラ負けを喫した。3試合連続の逆転での同一カード3連敗。希望の光が一気にかすむ、重い黒星になった。

 悪夢の展開だった。完全復活気配の先発吉川が4回まで無失点の快投。1つのミスで暗転した。5回に1点を加え、リードを3点に広げた、その裏。2死満塁から荻野貴のゴロを小谷野が適時失策。ライン際、三塁のベースと重なってからの処理に難しい打球だったとはいえ、後逸した。2点差とされ、続く井口に同点2点打を浴びた。プロ11年目の名手が「力不足です」と自らを断罪するワンプレー。最悪フィナーレの伏線だった。

 2カード連続の負け越しが決まった前夜。栗山監督はプラス思考を注入していたが、効力は見えなかった。ちょうど残り30試合となり、この日はペナント佳境の9月の初戦。ハートを揺さぶるため、動いた。選手らを集め「まだ30試合ある。しっかりやろうと、話をしたんだ」と鼓舞したという。ふんどしを締め直したはずが、中田不在でパワー不足の打線が攻め切れず。好投の吉川が悲劇のヒーローという、収穫なき再出発になった。

 明日3日から3位ソフトバンク3連戦(東京ドーム)。5ゲーム差に引き離された、目指すAクラス圏内の眼下の敵とぶつかる。結果次第では終戦ムード、Bクラスも現実的となる正念場になる。栗山監督は「まだ29試合ある。全部、勝てばいい」と、少しだけ力強く気勢を上げた。本拠地移転10年目、悲しい秋到来を避けるために。ファイティングポーズを崩さず抵抗を続ける。【高山通史】