<日本ハム6-5オリックス>◇10日◇札幌ドーム
日本ハム大谷翔平投手(19)の先制弾が効き、自力でクライマックスシリーズ(CS)進出できる可能性を復活させた。2回、オリックス金子の直球を右翼スタンドへ運んだ。7月14日のロッテ戦以来、約2カ月ぶりの3号ソロで打線が活気づき、3回に4得点して金子をKOした。先発木佐貫の乱調で同点とされたが、8回に西川遥輝内野手(21)の2号ソロが出て勝負を決めた。負ければ最下位転落の危機だったが、若手の活躍で踏みとどまった。
バットを放り投げ、3歩目にはスピードを緩めていた。2回、先頭で迎えた大谷の第1打席。右翼ポール際へ運んだ打球は、外野フェンスを悠々越えた。「ヒットを打てれば…と思っていたけど、狙い通りのところにきた。何とか打ててよかったです」。7月14日ロッテ戦以来、58日ぶりの1発は、札幌ドームのスタンド中段で弾む特大アーチ。連敗中のチームを活気づける、貴重な先制点を生んだ。
頭の中はシンプルだった。初球は膝元のスライダー。「内寄りの真っすぐ系を意識した」。2球目。狙い通りの直球が、シュート回転しながら真ん中へ入ってきた。普段は中堅から左への打球を心掛ける大谷だが、内角に意識があったことで、素直に腰を回転させた。難敵・オリックス金子にダメージを与える130メートル弾。打線は3回までに5点を奪い、大谷も「狙いを絞って、みんなが1つになっていけた。今日は勝ててよかったです」と喜んだ。
一塁ベースを回ると、オリックス李大浩の横を走り抜けた。高卒新人として、堂々出場した7月のオールスター。ベンチ裏で声を掛けられ、ツーショット写真をねだられた。同じリクエストは、楽天ジョーンズからも受けた。韓国の主砲とメジャーのホームラン打者が、「二刀流」で奮闘する黄金ルーキーに興味を示し、実力を認めていた。相手の主砲が持つツーショット写真は、この日また“価値”が上がった。
敵地で楽天に3連敗を喫し、負ければ最下位に転落する危機だった。連敗のスタートが、自身の先発登板試合。「(この日は)カード始めでもあったし、連敗を止めたかったです」。責任も感じていた。投手での悔しさを、バットで晴らせるのも、大谷にしかできない芸当。8日に消滅した自力CS進出の可能性が、復活した。
投手として3勝を挙げている高卒右腕が放った、3本目の本塁打。「まだシーズンは終わってない。まだまだこれからしっかり打てるように、頑張っていきたいです」。移転9年で7度のAクラス。常勝球団が立たされた窮地に、規格外ルーキーが希望の光を照らした。【本間翼】
▼大谷が先制の3号。1、2号はリードした場面で打っており、肩書付きの殊勲アーチは初めてだ。高卒新人の3本塁打以上は06年炭谷(西武=3本)以来で、日本ハムでは東映時代の59年張本が13本打って以来になる。大谷は投手で3勝。2リーグ制後、高卒新人で勝利と本塁打の両方を記録したのは大谷を含め11人。3本塁打は56年米田(阪急=9勝)と66年堀内(巨人=16勝)の2本を抜いて最多となった。



