<ロッテ0-7楽天>◇11日◇QVCマリン

 リーグ終盤で、ついにメジャー通算434発の本領を発揮した。楽天アンドリュー・ジョーンズ外野手(36)が1回、先制の23号3ランを放った。来日初の3戦連発は貴重な先制弾。同じオランダ国籍で親交の深いヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)の快挙達成日に、負けじと豪快な1発を放った。チームは2位ロッテとの差を6ゲームに広げ、マジックを15とした。

 インパクトの瞬間、「カパーン!」という打球音が鳴り響いた。ジョーンズが絶好球を1発で仕留めた。1回、1死二、三塁からロッテ大谷の真ん中カットボールをフルスイングした。「入ったとは思わなかったけど、しっかり打てたという感覚はあった」。手応えはなくても、ジャストミートすればスタンドへ届く。メジャー通算434発のパワーを見せつけた。

 9月に入って9試合で4本塁打と、本領を発揮している。「リーグ優勝」という譲れない目標があるから、集中力も高まる。来日初の3戦連発に「自分の仕事は走者をかえすこと、塁に出ること、勝利の手助けになること。波に乗って、好調を維持していきたい」と頼もしく話した。

 気持ちを固め、海を渡ってきた。来日した外国人選手では最多のメジャー本塁打数を誇る。あまりの実績に、すぐに米国に帰るのでは、という心配があってもおかしくない。だが、ジョーンズの思いは違った。「もう米国には戻らないぐらいの覚悟を決めてきた」。契約は総額3億円の1年だが「1年とは言わず、4年、5年やりたいと思っている。このチームを常勝軍団にしたい」。優勝経験のないチームを常勝に変える。目標は「優勝」だけ。だから、若手とも積極的に会話し、時にはメジャーでの経験談を伝えてきた。

 この日は同じオランダ領キュラソー島のヤクルト・バレンティンが55号を放った。ジョーンズも本塁打で祝砲を上げた。9日の移動日には都内で会食。「彼を誇りに思っていると伝えた。集中力を切らさないようにと言っている。最後まで戦って欲しい」とエールを送った。チームの置かれた状況は違うが、2人とも勝利を目指し戦っている。

 3回にはマギーの本塁打も飛び出した。星野監督は「3ランが2つとも効いた」と、助っ人2人の活躍に目を細めた。ロッテと再び6ゲーム差に広げ、マジックは3つ減らして15とした。ジョーンズは「我々の目標に近づいている。最後の最後にゴールテープを切らないといけない」と気を引き締めるように言った。その日まで、4番としてどっしり座る。【斎藤庸裕】

 ▼楽天のマジックが18から15に減った。パ・リーグは最終的に2チームが同勝率で並んだ場合、(1)当該球団同士の対戦勝率が高い順(2)交流戦を除いたリーグ内対戦勝率が高い順で、順位を決定する。前日時点ではロッテが残り全勝すると87勝55敗2分けとなり、楽天は残り17勝で同率となったが、このケースではロッテ-楽天戦は12勝12敗で、リーグ内対戦勝率はロッテが高いため、ロッテを上回るには18勝が必要でM18だった。この日、楽天がロッテ戦の勝ち越しを決めたため、今度はロッテと同率でも楽天が上位。楽天はあと15勝すれば残り全勝のロッテに並ぶため、マジックは前日の18から15に減った。引き分け数に差がある場合にも一気に3減ることがあり、最近では93年9月29日の西武が9から6に減った。