<ヤクルト2-3阪神>◇13日◇神宮
「母のお告げ」は当たらなかった。プロ野球記録の55本塁打に並んでいるヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)は、4打数無安打で2試合連続ノーアーチに終わった。12日に来日した母アストリットさん(65)から試合前に「たぶん今日だよ」と新記録となる56号を予言されていた。だが、2日連続で観戦した母の前での快挙達成は、この日もおあずけ。今日14日は阪神のルーキー藤浪と対戦する。
予言的中か!?
バレンティンはプロ野球新記録の56号を確信したかのようにバットを手放し、両手を広げた。1回の第1打席で外角147キロを中堅へ。本塁打性の打球に、観客も立ち上がって打球を追った。だが、フェンス手前で失速し、阪神俊介のグラブに収まると、約3万人の大観衆から大きなため息が漏れた。
最終打席では歓声すら起きなかった。8回、止めたバットにボールが当たり、投ゴロに終わった。4打数無安打で2試合連続のノーアーチ。こんなはずじゃなかった-。ベンチではヘルメットをたたきつけるシーンもあった。そんな思いをぶぜんとした表情ににじませながら、大勢の報道陣を引き連れてクラブハウスに引き揚げた。
今日こそ絶対に決める。その思いを後押しする“お告げ”があった。この日、自宅マンションから球場へ向かう際、母アストリットさんから「神様のご加護があると感じたから、たぶん今日だよ」と言って、送り出してもらった。前日12日に来日し、オランダから応援に来てくれた母の言葉に力をもらった。
前日は3時間半睡眠だったが、この日は「すっきり寝られた」とリラックスした様子で球場入りした。打撃練習では一変した。打球がなかなか上がらなかった前日と違い、この日は右投げの打撃投手から23球中10本の柵越えを放った。アストリットさんも2日続けて観戦。新しい歴史が刻まれる予感は漂わせていた。
だが、阪神バッテリーに徹底して外角を攻められ、2日連続で足踏みとなった。連続試合安打も7で止まった。バレンティンは「(1本目は)捉えきれなかった。外角ばかりで、ホームランにできる球がなかった」とブスッとしていた。
小川監督は「毎日打てるわけじゃないけど、彼の場合、明日もチャンスはある。チャレンジしてほしい」と話した。残りは20試合。予言に頼らずとも、新しい歴史の扉を開くための打席は、十分に残されている。【浜本卓也】



