<DeNA4-5ヤクルト>◇18日◇横浜

 3冠王が見えてきた!

 ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)が58号ソロを放ち、自ら持つシーズン最多本塁打記録を更新した。7回には決勝打を放ち、4連勝に貢献。3安打で打率を3割3分8厘に上げ、122打点はトップのDeNAブランコに3差。本塁打の新記録祝いに、休日のディナーで母アストリットさん(64)と焼きフグを食べたパワーを全開にした。

 まだまだ止まらない。バレンティンが、横浜の夜空にもアーチをかけた。1点を追う5回、三嶋の真ん中直球を左中間へ運んだ。「前の打席でストレートに振り遅れて打ち取られていたので、頭にあった。反省点を修正して、打ち損じることなく、素晴らしいスイングができた」。配球を読んだ会心の58号同点ソロで、自身のシーズン本塁打記録をさらに伸ばした。

 1発だけで終わらない。4-4の同点で迎えた7回1死一、二塁では、勝負強さを見せた。2番手大田の内角低め直球を左前へ転がした。「集中力を持って、打てるボールを待っていた。つまったけど、いいところに飛んでくれた。大事なランナーをかえすことができた」。逆転勝ちへと導く決勝打で、チームに4連勝をもたらした。

 打球は上がらなくても、新たな夢が膨らむ。リーグ2位の打点を122に伸ばし、トップのブランコに3差。欠場したライバルの目の前で、3安打2打点と結果を出した。本塁打と打率は1位で、04年松中(ダイエー、現ソフトバンク)以来となる3冠王も射程圏に入った。「そのことは気にせず、好調をキープしたい」と目を光らせた。

 日本新記録をつくった翌16日は、オランダから来日中の母と渋谷でショッピング、六本木でディナーと休日を満喫した。母アストリットさんは、いつにも増してきらびやかな装飾品を身につけてスタンドから応援。「金とダイヤ入りのネックレス、指輪、アンクレットを息子から買ってもらったの。夜は焼きフグをごちそうしてくれた。あんなおいしい食べ物は初めてよ」と感激した。バットでも、母への感謝を示した。

 試合前は“燃え尽き症候群”を心配されていた。複数のタイトルがかかっていながら、前日は再三の好機で凡退。小川監督は「記録を破った後だからか、気の抜けたような感じだった。カツを入れようかな」と打撃練習を見つめていたが、フタを開けてみれば単なる“休みボケ”だった。切り替えの早さも、アーチ量産につながっている。

 5位DeNAに連勝して3ゲーム差に接近。最下位脱出も見えてきた。「投打がかみ合ってきた。横浜で3連勝するんだという気持ちで明日も勝ちたい」。打って勝ちもつけば、喜びも違う。残り16試合。55号の壁を乗り越え、次なる獲物は3冠王だ。【柴田猛夫】

 ▼バレンティンが58号を含む3安打、2打点。8月13日時点ではブランコ112打点、バレンティン90打点と22点差あったが、1カ月ちょっとで3点差まで詰まった。過去、3冠王は04年松中(ダイエー)まで7人、11度誕生しているが、シーズン本塁打記録を更新した年に獲得したのは、38年秋に初代3冠王となった中島(巨人)だけ。「本塁打記録+3冠王」なら75年ぶりだ。また、3冠王が生まれてBクラスは、落合が最初に獲得した82年にロッテが5位、3度目の86年にロッテが4位の2度。最下位チームから3冠王はまだない。

 ◆3冠王のライバル

 バレンティンは18日現在で打率、本塁打の2冠王。本塁打部門は2位ブランコに21本差をつけており、ほぼ確定。打率は2位ブランコと1分1厘、3位村田(巨人)と1分9厘と小差。バレンティンは6月以降はすべての月で3割以上と安定しているが、ブランコ、村田とも9月は2割台と低迷しているため逃げ切れそう。打点部門は1位ブランコ(DeNA)の125を3差で追う。ヤクルトの方が残り試合が3試合多いため、届く可能性は十分ある。ブランコは右大腿(だいたい)二頭筋の張りのために16日中日戦から3試合連続で欠場中で、21日の中日戦から復帰できる見通し。