<中日3-2巨人>◇18日◇ナゴヤドーム

 巨人がV王手に失敗した。同点の7回無死、沢村拓一投手(25)が中日森野に痛恨の右越えソロを許し、そのまま敗れた。6月21日の中日戦(上毛敷島)以来、勝ち星に見放されている右腕は、ついに10敗目。また、阪神が勝ったため優勝へのマジックは3のまま変わらず。最短の優勝決定は21日の広島戦(東京ドーム)に持ち越しとなった。

 本拠地で優勝を決める可能性が高くなった。だからというわけではないが、沢村をきつく非難する首脳陣はいなかった。原監督は「どこかに反省する部分がある。次につなげてくれればいいと思いますね」と言い「プロだから、あの場面は当然注意している。ただ、頭と現実がかみ合わないというところでしょう」と思いやった。

 川口投手コーチは「こういうこともある。沢村はよく投げている」と、むしろたたえた。先発からリリーフへ配置転換して4試合、抑え続けてきたことも考慮したのだろう。また、CSでは先発に戻す腹案があり、この日の失敗は責められないと判断した可能性もある。

 というのも、沢村の失敗は先発ならば許容できる失敗だったからだ。6回から登板した沢村にとって7回は、先発時の2回にあたる。そこで忌み嫌われるのは、大量失点で試合を壊しかねない先頭打者への四球。この日の宮国も、先頭打者への四球から崩れていた。それを恐れるあまり打者有利のカウントから、甘い球がいってしまったようにも見えた。先発ならば、仮に被弾しても、長いイニングを投げて試合をつくれば失敗とは言えない。そこにギャップがあった。

 沢村は3ボール0ストライクというカウントにしてしまったことを猛省した。その上で「四球はダメ。でも本塁打はもっとダメ」と、リリーフとしての考え方をいま一度、自分の中に刻み込んだ。先発復帰が期待されるCSまでは、まだ時間がある。しばらくは、中継ぎとして、チームの勝利に貢献する日が続く。10個の黒星が物語るように、苦しんだ分だけ喜べるよう、本拠地での優勝決定に向けて、力を発揮したい。【竹内智信】

 ▼リリーフの沢村が今季10敗目。沢村はプロ1年目の11年が11勝11敗、12年が10勝10敗。プロ入り3年連続10敗以上は90~93年小宮山(ロッテ=4年連続)以来で、巨人では57~62年藤田(6年連続)62~65年城之内(4年連続)に次いで3人目だ。藤田、城之内は白星も3年連続で2ケタを記録したが、今年の沢村はまだ4勝。プロ入り3年連続2ケタ勝利の方は厳しくなった。