<広島1-9阪神>◇18日◇マツダスタジアム

 お待たせしました。猛虎のお目覚めや。「CS前哨戦」第2ラウンドで、打線は13安打9得点と爆発。32イニングぶりの適時打が生まれると、7戦ぶりの2桁安打もマーク。3番マット・マートン外野手(31)が4安打に17号2ランで3打点。広島に2位奪われるかもなんてコイの胸騒ぎがしてたけど、あ~スッキリ。3連敗で脱出し、広島を再び6差に突き放した。

 つき物が取れたかのようだ。マートンがチーム、そして自分自身の鬱憤(うっぷん)を晴らした。5点リードで迎えた4回2死二塁、広島野村の初球だ。内角134キロ直球に腕をたたみ、コンパクトに強振した。「インコースにうまく反応できたよ」。大飛球は左翼席上段をも越え、コイたたきの仕上げは完了した。連敗は3でストップ。虎がトンネルの出口に到達した。

 「いいゲームだったね」

 試合後は一言に力を込めた。ただの1勝ではない。7連勝中だった広島に土をつけた。大勝したことに意味がある。神宮でヤクルトに2戦連続完封を許し、前日17日は広島相手にサヨナラ負け。初回に5番新井貴の適時二塁打が飛び出すまで、チームは31イニング適時打が出ていなかった。3位広島に5差まで縮められての一戦。負ければ対戦成績も五分とされるところだったが、マートンの17号2ランがモヤモヤした雰囲気を切り裂いた。

 野球が好きだ。8月22日、チームは午前中に横浜から静岡に移動し、DeNA戦を控えていた。移動後も午後3時前にはバスに乗り込み球場へ。わずかな空き時間を利用し、夏の甲子園決勝、前橋育英VS延岡学園の生映像をチェックした。

 マートン

 前橋育英エースの高橋君は9回裏無死一、二塁からレフトフライ、キャッチャーフライ、三振だろ?

 今日は135キロぐらいしか出ていなかったのに、9回は141キロが出ていた。さすがだよね。

 そんな野球小僧にとって、3日前の日曜日はつらかった。前日14日のヤクルト戦で本塁突入の際にタックルを仕掛けた直後、捕手相川に突き飛ばされた。思わず防戦した姿勢が応戦と判断され、暴力行為による退場宣告を受けるだけでなく、1試合出場停止処分を受けた。「チームに迷惑をかけたのがつらい」。翌15日の同戦は出場できず、出場停止明けの前日17日広島戦は4打数無安打。燃えたぎる思いをバットに乗せた。

 来日1年目の自己最多本塁打数に並んだだけではない。3点リードの2回は中前適時打、6回は右前打、8回には左翼線二塁打を決め、今季3度目の4安打も達成。7試合ぶりの2ケタ安打、さらに先発野手全員安打も呼び込んだ。「休み明けで結果が出なかったけど、これですっきりしたんじゃないかな」。和田監督もホッとひと安心だ。

 3位広島とのゲーム差を再び6に広げた。野村には8月30日に8回3安打に抑えられ、0行進を許していた。この日は4回途中でのKO。CSファーストステージを戦う可能性が高い広島に、虎の底力を見せつけたことが、何より大きい。【佐井陽介】