<楽天10-11ソフトバンク>◇18日◇Kスタ宮城

 節目の二塁打も報われなかった。楽天松井稼頭央内野手(37)が日本通算350二塁打を達成した。5-2の5回1死満塁で、ソフトバンク武田から右中間へ走者一掃の二塁打を放った。リードを広げる貴重な一打だったが、中継ぎ陣が終盤3回で9点を失い逆転負けを喫した。優勝マジックは「9」のままだ。

 節目の一打は複雑だった。5-2の5回1死満塁、松井はソフトバンク武田の低めの直球を捉えた。右中間を破り、走者を一掃した。一塁を蹴った松井は、ぐんぐん加速。そのまま二塁も蹴って、果敢に三塁を狙った。滑り込んだが、ボールが中継で戻されタッチアウト。直後、中堅後方のバックスクリーンに「日本通算350二塁打」を知らせる表示が出た。記念ボードをもらい、帽子を取ってスタンドの拍手に応えたが、走塁死しただけに、苦笑いも浮かべていた。

 350本もの二塁打を重ねたのは、史上38人目。素晴らしい記録だ。もっとも、当の本人は、349本目の二塁打の後「ピンとこないね。感慨も、あまりない」と話していた。それも、そのはず。メジャーで過ごした7年間で、124本の二塁打を放った。日米通算なら350どころか、474本目。ただ、二塁打には思い入れがある。「野手の間を抜いていく打球。自分は中距離打者だと思っている。ホームランはヒットの延長だから」。足もないと、これだけ多くの二塁打は打てない。さらに三塁打も狙おうという姿勢は、松井のプレースタイルそのものだった。

 しかし、もう1本、安打を打ちたかった。中継ぎ陣が終盤に大逆転を許すも、9回に1点差に追い上げた。なお2死満塁で、松井に打席が回ってきた。同点、さらにサヨナラのチャンスにカウント1ボールからの2球目、ファルケンボーグの直球を打った。だが、二ゴロで試合終了。最後の打者になった。「当然、悔しいです。でも、切り替えていくしかない。明日、頑張ります」と言った。この日の借りは次の試合で返す。固く誓った。【古川真弥】