<広島1-9阪神>◇18日◇マツダスタジアム

 阪神エース能見篤史投手(34)が節目の10勝に到達した。CSでぶつかる可能性の高い広島相手に、9回4安打1失点での完投勝利。完封こそ逃したが、3年連続で4度目の2桁勝利をマークした。秋の決戦で広島ときても、虎には能見がいる。

 やっと、肩の荷が下りた。能見は10勝目を手にすると、端正な顔立ちに笑顔をのぞかせた。チーム宿舎に帰るバスへの足取りも、どことなく軽い。

 能見

 9勝と10勝では気持ちが違う。野手の方に勝たせてもらったというか、プレゼントしてもらった。

 大量援護こそあったが、1失点完投は文句なしの内容。エースが「らしさ」を発揮した。チームは3連敗中で、この日を迎えていた。広島は7連勝中と波に乗っていた。その7試合で鯉は1試合平均6・9得点。好調打線を前にしても、エースには余裕があった。初回。1死一、二塁とピンチを招いたが、表情ひとつ変わらない。4番エルドレッドを直球で空振り三振。好調の梵はフォークで空を切らせ、連続三振。立ち上がりをしのぐと、序盤からのリードにも守られ、スイスイと0を並べた。

 バットでも白星をたぐり寄せた。能見はこの日、4回、5回と2つの犠打を成功させた。日頃から、投手の練習が終わってからも、室内練習場のマシンを相手に打ち込みとバント練習を繰り返している。台風18号が直撃した16日も、誰もいない室内練習場に、能見がボールを打ち返す音が響くなど地道な練習も怠らない。バント練習をするスタンリッジの投手役を買ってでたこともあった。本人は「たまたま」と謙遜したが、勝つために何が必要か-、それを背中でチームに示そうとしている。

 3年連続2桁となった10勝で終わるつもりではない。悔やんだのは9回2死から、途中出場の広瀬に許した本塁打。今季3度目の完封目前に落とし穴があった。「もったいないというかすんなり行かないといけないところ」。見据えるは、この日戦った広島と激突する可能性が高いCSだ。

 メッセンジャーと能見がCSの軸となるのは明らか。今季初対決となった鯉に嫌なイメージを植え付けたのも間違いない。「しっかり準備して。真っすぐが走らないと、どうにもならない。追い求めていきたい」と口元を引き締めた。WBCから始まった能見の2013年が、これまでで最も長いシーズンになるかどうか。すべてはその左腕にかかっている。【山本大地】