<楽天3-2ソフトバンク>◇19日◇Kスタ宮城

 海の向こうから、熱いメッセージが届いた。5回表終了後、場内の大型ビジョンに楽天ダレル・ラズナー投手(32)のビデオメッセージが流された。右肘を痛め米国に帰国。14日に右肘の側副靱帯(じんたい)再建手術(トミー・ジョン手術)を受けた。全治10カ月から12カ月と厳しい診断だが、チームを離れた守護神の思いに応えるようなサヨナラ勝ち。優勝マジックを2つ減らし「7」とした。

 5回表のソフトバンクの攻撃が終わった後だった。突如、右翼スタンド後方にある大型ビジョンにラズナーが現れた。右肘の手術が無事に成功したことが場内アナウンスで説明された。映像の守護神は、いつもの優しいまなざしで、ファンやチームメートに語りかけるように口を開いた。

 ラズナー

 チームを離れることになり、とても残念です。また、この場所に戻ってきたいと思っています。みなさん頑張ってください。

 スタンドからは温かい拍手が起こった。ベンチの選手たちにも、ラズナーの思いが伝わったのかもしれない。直後の5回裏、岡島、藤田の連続適時打で2点先制。いったんは追いつかれたが、9回に伊志嶺のサヨナラ打で勝利した。

 ラズナーの診察結果は厳しいものだった。8月24日ロッテ戦で右肘に異変を訴え、今月9日に米国へ帰国。14日に手術を受けた。全治までは10~12カ月と長く、今後の見通しは不明だ。再来日のめどはおろか、来季契約も不明だ。安部井スカウト部部長は「まだ白紙です」と話すにとどめた。

 それでも、先発、中継ぎ、抑えとしてチームを支えてきた右腕の復帰を望む声は少なくない。たとえ、来季契約は白紙でも、優勝の時は戻ってきてほしい。そんな声も多い。同じ救援投手の青山は「彼には何度も助けてもらった。タイミングがあえば、一緒に優勝の瞬間を味わいたいです」と望んだ。

 ラズナー不在の今、斎藤、青山、長谷部らが日替わりで抑えを務めている。サヨナラ勝ちを見届けた星野監督は「うちは抑えはいない。その時、その時で、回していく」と言った。日替わりになるのは、それだけ、ラズナーの存在が大きかったからだ。みんな、勝つことが、ラズナーへの術後のお見舞いになると信じている。【古川真弥】