ソフトバンクがロッテとの「4億円バトル」に挑む。今日21日から敵地で2位と3位をかけた今季最後の3連戦。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(S)地元開催なら売り上げは1試合2億円とされ、最低でも4億円。自力Vの可能性は消えた中、王球団会長からもまずは2位確保の「指令」が飛んだ。

 今日からのロッテ3連戦が、CSの開催地を大きく左右する。2位なら地元、3位は敵地。大一番に向け、コミッショナー騒動の渦中にいる王球団会長からも、自身そっちのけで、はっぱが飛んだ。

 「2位の座をかけた戦い。しっかり確保しないと。ゴールは見えている。チーム全体、気合を入れてやってくれるでしょう」

 初のファーストS地元開催をかけ、2位確保の最低ノルマが出された。

 孫オーナーから常勝軍団を求められるチームが2位を狙うとは公言しにくい。ただ、楽天が確実にマジックを減らし、現実的な目標ではある。ファンのここまでの応援に報いるためにも、地元開催は死守したいところ。声を大にしづらい現場の思いを代弁するかのように、王会長は笑みを浮かべて激励した。

 今季チームはQVCマリンで3勝5敗と負け越し。07年にはCS第1ステージ(当時)で1勝2敗で散っている。打球にいたずらを加える名物のマリン風は、慣れているロッテに優位に働き、おまけに一体感ある応援も相手を味方する。これが、ヤフオクドームなら逆に作用し、試合前の準備もいつものペースでできるなど地の利を生かせる。

 さらに球団の試算では、放送権収入や広告、入場料収入で、CS1試合の売り上げは2億円とされる。ファーストSを地元開催できれば、最低でも4億円、3戦目までもつれると6億円。地元経済への波及効果も見込める。営業サイドは水面下で準備を進めるが、それも3位なら絵に描いた餅。ロッテとの億をかけた開催権バトルを制すれば、ファン、選手、球団にプラスになることばかりだ。

 チームは1日で3位へ転落した仙台を離れ、千葉入り。秋山監督は「まだ順位が確定していないからな」と短い言葉で緊張感を漂わせた。QVCマリンで先発投手陣が練習すると、内川、中村がオフ返上で加わった。選手たちの頬をなでた穏やかな風は、激しい闘いの前の静けさにすぎない。