<日本ハム3-7楽天>◇21日◇札幌ドーム
残る目標は優勝だけ-。楽天田中将大投手(24)が、開幕から負けなしの22連勝を達成した。日本ハム戦(札幌ドーム)に先発し、8回4安打1失点。3回に今季初めて満塁から適時打を浴びるなど本調子ではなかったが、打線の援護にも助けられた。これで、球団では08年に21勝を挙げた岩隈(現マリナーズ)を超える22勝目と、球団新記録となった。マジックを6に減らし、悲願の初優勝に突き進む。
まるでバスケットボールのダンクシュートのようだった。3回だ。2死満塁でアブレイユ。頭上を越えそうなゴロを打たれた。田中は両足を開き、豪快な垂直ジャンプ一番、打球をもぎ取った。これ以上失点しない-。強い意志の込められた捕球だった。前打者の陽岱鋼には、2死満塁から適時打を許した。アブレイユと同じように二塁ベースに進む打球。だが、バウンドが高かった。惜しくも遊撃内野安打。今季初めて満塁での失点だった。それでも、鬼の形相でアブレイユを封じ、唯一のピンチを最少失点に抑えた。
「とにかく勝って良かった。(内容は)良くなかった」と試合後のヒーローはホッとした顔で言った。開幕から無傷の22連勝でも「連勝が大事なのではなくて、優勝がかかっている中で、しっかりと最初のゲームを取れたというのが良かった」と、Vロード7連戦の初戦を勝ったことに価値を置いた。
数々の連勝記録を塗り替え22勝。この日は球団記録、岩隈のシーズン21勝を抜き去った。周囲は「球団の記録をすべて塗り替えるんだという気概を感じます。岩隈の21勝も意識しているはず」と話す。ともに戦った2人だが、スタイルの違うエースだった。登板日には極限まで集中力を研ぎ澄ませ、他を寄せ付けないオーラを発するのが岩隈だった。一方の田中は、年齢の若さもあり登板日でも比較的自然体。則本や、藤田、岡島の野手のメンバーも「話しかけづらい雰囲気は、ないです」と話す。
近い距離感が、プラスに作用している面もある。試合前のキャッチボールやブルペンの様子から、状態が良くない日でも「行きます」と完投を志願している姿を見て「マサヒロに負けをつけるわけにはいかない」とナインのテンションは燃え盛る。この日も決して良くはなかった。珍しく序盤からボール先行。2ボールナッシングが3回までに4人もあった。8回で降板した直後の9回、打線が4点を奪ったのも、決して偶然ではない。
リーグトップの198イニングを投げたエースの粘投で、マジックは「6」になった。田中は「早く決めましょう。1日でも早く」と、待ちわびる。残る球団記録、最短24日の初Vまで、仲間とともに戦っていく。【斎藤庸裕】
▼田中が開幕から22連勝。今季8勝目の6月9日巨人戦からは登板した15試合にオール白星。勝敗なしの試合を挟まない「15戦15勝」は03年斉藤(ダイエー)が5月10日日本ハム戦から8月27日西武戦でマークして以来、2人目のタイ記録だ。シーズン22勝以上は80年木田(日本ハム=22勝8敗)以来33年ぶりで、楽天では08年岩隈の21勝を抜く球団新記録。1人で貯金を22以上つくった投手は61年稲尾(西鉄=42勝14敗)が最後だが、田中の貯金はどこまで増えるか。



