<巨人4-7広島>◇21日◇東京ドーム

 広島前田健太投手(25)が、目の前での巨人の胴上げを阻止した。へんとう炎で38度の熱が出て体調不良ながら、6回をわずか1安打8奪三振の快投。降板後は病院に直行したほどだったが、エースのプライドを見せつけた。自身最多の9連勝でリーグ単独トップの15勝目。打線も3発7点で援護した。クライマックスシリーズ(CS)へ向け、クリンチナンバーは「5」となった。

 エースだから、マウンドに立つ。エースだから、負けられない。体調不良を言い訳にはしない。前田健が、巨人の胴上げを意地で阻止した。

 立ち上がりから全力で行った。3回まで完全投球。4、5回に四球を与えたが、味方の好守にも助けられて後続を断つ。結局6回をわずか1安打8奪三振。完璧な仕事ぶりで、巨人を沈黙させた。自身最長の9連勝を飾り、リーグ単独トップの15勝目を挙げた。

 投球を見守った野村監督が思わず言った。「みなさんはさすがと思ったでしょうが、僕らはスゴイなと思って見ていたんです」。

 実は、前日から体調不良に悩まされていた。前日の投手指名練習でもテンションは低め。38度の熱が出て、この日の試合前練習ではアップもせず、グラウンドには出てこないまま、ベンチ裏で静養に努めた。野村監督は先発の変更も考えたが、前田健本人が「行きます」と直訴。5回までというつもりで送り出したが、無安打投球だったため、6回に初安打を打たれるまで引っ張った。「思ったボールが投げられない中であの投球ですからね」と指揮官はエースの根性とプライドに感服した。

 降板後はすぐに都内の病院に直行し、治療を受けた。「へんとう炎」と診断され、宿舎に戻り体を休めた。この後は中4日でCS争いのライバル中日との直接対決(26日、ナゴヤドーム)に向かう可能性もあった。野村監督は「体調面なので次はきついかも。直接対決なので案を練らないと」と、体調の回復を見て今後のプランを練り直す。

 それでも、4位中日と5・5差を保ち、クリンチナンバーを「5」に減らした。いよいよカウントダウンだ。悲願の球団初CS進出へ、エースが見せた熱投が、チームをさらに盛り上げ、加速させるはずだ。【高垣誠】