<DeNA1-5中日>◇21日◇横浜

 中日ダニエル・カブレラ投手(32)が残留御礼の6勝だ。最速152キロの真っすぐと変化球のコンビネーションが抜群で、7回を自責0の4安打1失点。意外にも「野球人生で初めて」という2試合連続の2桁奪三振でDeNAを圧倒した。球団は前日20日に今季年俸の2倍以上となる95万ドル(約9500万円)で契約更新を発表したばかり。やる気アップ作戦ズバリの快投だ。

 「来年も中日のユニホームを着ることができて心からうれしい。近藤さんと今中さん。本当に感謝です」

 203センチの巨体をかがめ恩人の名前を挙げた。メジャー48勝、06年オリオールズでは、ヤンキース相手にあと2人でノーヒッターまでいった実績もある。だが機動力野球全開の日本では、クイックの課題を露呈。春先は4勝したが故障も重なり、5月から4カ月勝てなかった。そんな8月初旬、カミナリが落ちた。

 「来年帰る気ならやらんでいいよ。でも、日本でやる気ならしっかりやれ!」

 今中投手コーチだった。実績とプライドを尊重し、見守ってきたコーチからの最後通告。だが近藤コーチとの二人三脚で、本気で手助けしてくれる姿がうれしかったという。「ずっとこのチームでやりたい」と、思うようになったのはこのころから。そしてついに課題を克服。9月以降は3戦2勝で残留を勝ち取った。

 「今は全然走られてないでしょ。コントロールもよくなった。クイックを覚えてすべてが変わったんだ」

 谷繁から「ゴマをするなよ」とちゃかされても、感謝しきり。そしてチームは逆転CSへ。「チャンスがある限り、底力を出していく」。カブの恩返しが奇跡への夢をつなぐ。【松井清員】