<巨人2-1広島>◇22日◇東京ドーム

 巨人リーグ連覇の瞬間、マウンドには原監督のおいにあたる菅野智之投手(23)がいた。エース内海とともに1年間先発ローテを守り抜いたご褒美に、晴れの日の大役が回ってきた。ルーキーらしからぬ安定に気迫をまぶし、8回1失点で13勝目。最高の“伯父さん孝行”をしてみせた。

 荒々しくハイタッチした。記念撮影では、右肩の後ろにそっと寄り添った。何より8回1失点の投球でリーグ連覇に花を添えた。菅野は、伯父さんにできる限りの恩返しをした。「優勝が決まって、逆に負けられなくなったという思いがこみ上げてきた」。マウンドでの形相とは別人の穏やかな顔で振り返った。

 4月7日の朝だった。菅野は新聞記事の一文に目が留まった。「伯父さんは家で涙を流してるんじゃないか」。原監督が前日、自分の初勝利について感想を問われ、述べた言葉だった。私情を挟むことを嫌った監督は、昨年末から「伯父さんとおいの関係について質問はやめて」とお願いしていた。この時ばかりは、戸惑いつつ答えたのだった。

 菅野は「独特な表現だな。申し訳ないな」と思った。同じユニホームを着て以来、私的な会話を交わすことはなくなった。完封勝利の目前で代打を送られた試合もあった。「でも、僕なんかより監督の方が、ずっと気を使っているはずですから」と受け止めていた。

 2人の関係は、周囲にどう見られているのか。色眼鏡、好奇の目。入団前から「普通でしょう。どう取られても仕方ない」と悟っていた。それでも「窮屈に思ったことは1度もなかった」と即答した。運命を「絶対に結果を残さなくてはいけない。同時に、日常生活でも常に、巨人の選手としてふさわしい態度を通さなくてはいけない」と糧にし、自分を磨く原動力にした。

 監督推薦で出場した球宴が悔しい。「違った見方をされる可能性がある。嫌でしたね。実力で出場できる選手になろう、と思いました。ファンの方に選んでいただく。選手間投票で認めてもらう」と正直だった。並んでの優勝会見で、原監督から「1年間、彼もいろいろあったでしょうが、すべてエネルギーに変えてくれた」とねぎらわれた。菅野は「これから先も強いジャイアンツの一員でいられるように、しっかり努力したい」とあらためて誓った。本当の恩返しをする。【宮下敬至】