<日本ハム3-4ロッテ>◇24日◇札幌ドーム

 日本ハムがロッテに敗れ、8年ぶりの負け越しが決まった。5年連続の2ケタ勝利を目指す先発の武田勝投手(35)は粘りの投球を見せ、9回10安打4失点で完投したが、勝ち星にはつなげられず、7敗目を喫した。これでチームは今季3度目の5連敗で、北海道移転後最多の72敗目。5位オリックスと1・5ゲーム差に広がり、最下位脱出が一歩遠のいた。

 無力だった。日本ハムの北海道での栄光の歴史に、一区切りついた。喜怒哀楽いっぱいの栗山英樹監督(52)は、仏様のように静かに敗戦の弁を語り出した。「課題、宿題がはっきりある。今日もやられましたけれど、悪いのはこっちだから」。8年ぶりのシーズン負け越しが決まった。ポストシーズン進出もほんのわずかな可能性を残すが、さらに絶望的になってしまった。

 試合前は、少し明るかった。気丈に振る舞っていた。沈痛な思いをウイットに富み、表現できていた。「オレね。『今、死ね!』と言われたら、すぐに死ねそうな感じ」。今季ワーストの借金11を背負って一夜明け、強烈なジョークで現状の自分を見つめ直していた。稲葉と金子誠、飯山のベテランを投入して打開を図りにいった仕切り直しの一戦。今季を象徴するように無情だった。

 観衆1万4586人。08年4月23日オリックス戦以来、札幌ドームでは1万4000人台を記録した。三塁側ベンチから眺める光景。気持ちを奮い立たせたが、適時打はゼロ。この日、白星を逃せば4年続けてきたシーズン2ケタ白星が途切れることが決定的な武田勝を、完投させた。「とにかく勝たせてあげたかった」。エースを立てて強行の続投策でも、指揮官の願いはかなわなかった。

 夢を見ることができなくなった今季。現実的に、来季へと思いもはせていた。「いくつ負けるとか、気にしていない。144試合。どうやって生かすかしか考えていない」。年間で負け越した8年前の05年は5位に沈んだ。我慢の秋、冬を過ごした翌06年。25年ぶりのパ・リーグ制覇を果たし、44年ぶり日本一まで駆け上がった。歴史は繰り返すのなら、残り10試合の試練の先に未来がある。栗山監督は「みんなで戦います」と短く結んだ。決意と覚悟がにじんだ。【高山通史】