<ヤクルト7-6巨人>◇25日◇神宮

 3冠王が、ホントに目前だ!

 打率と本塁打でトップを走るヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)が、6試合ぶりの打点をマークした。前日24日は球審に暴言を吐いて来日初の退場処分を受けたが、気持ちを切り替えて2本の適時打で2打点。1位のDeNAブランコに1差に迫った。残りは10試合。04年の松中(ダイエー、現ソフトバンク)以来となる3冠王誕生が見えてきた。

 バレンティンらしからぬ、緩やかな打球だった。1回2死三塁で、巨人宮国の外角99キロカーブを「見逃せばボールだと思う球を強引に打ちにいってしまった」とバットの先で拾った。力のない打球だったが左前で弾み、6試合ぶりの打点をマークした。4回の第3打席では右前にポトリと落ちる適時打。計2打点で124打点とし、DeNAブランコに1差に迫った。2本とも当たりは良くなかったが「全然気にしていない。打点もついたしチームも勝ったしね」と振り返った。

 最悪だった前日を引きずらなかった。陽気なカリビアンでありながら、実は繊細。打率を自分で計算して気にするなど細かな一面もある。ここ5試合で打点もなくバットが湿っていたが「打てる日もあれば打てない日もある」と言い聞かせた。そんな時、球審への暴言で初の退場処分を食らった。「次の日に尾を引かないようにしよう」と気持ちの切り替えに努めた。

 そんな懸命な姿に、運も味方した。この日、小川監督と約束していたご褒美のグラブ2個がたまたま届き、試合前にプレゼントされた。これでテンションは上がったに違いない。1回には6番飯原の中前打で二塁から一気に生還。足を引きずるほどの激走を見せた直後の2回の守備では、スライディングキャッチで安打性の打球を好捕。苦しい時期を乗り越えた主砲に、小川監督は「彼なりに一生懸命やっている。やれることをやっている部類じゃないかな」と目を細めた。

 球団初の3冠王が視野に入ってきた。バレンティンは「まだまだ。シーズンが終わってから」と無関心を装ったが、周囲の期待は高まってきた。残りは10試合。本塁打のプロ野球記録に続く偉業達成の瞬間が、はっきりと見えてきた。【浜本卓也】