<中日0-2広島>◇25日◇ナゴヤドーム

 広島が今世紀初の快挙を成し遂げた。中日を下し、16年ぶりのAクラス入りを確定させ、初のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。就任4年目の野村謙二郎監督(47)にとっても悲願達成。10月12日からのファーストステージで阪神と対戦する。

 16年ぶりのAクラス入りに、フロント陣も胸をなで下ろした。「いつかは自分たちのチーム作りが正しいことを証明したい」という松田元オーナーの思いも、少し報われた。

 FA制度、逆指名制度が導入された93年が分岐点。球界に「格差」が生まれ、広島は停滞する。FAでは94年川口を皮切りに、99年江藤、02年金本、07年黒田など7人が流出する一方、12球団唯一の獲得はなし。10年オフに内川獲得に名乗りを上げたが撤退。逆指名及び自由枠での入団選手8人も、楽天(近鉄)の7人に次ぐ少なさだ。

 限られた資金源の中で、最大の補強はドラフトだ。ローテーションの柱を務める前田健、野村、大竹は、いずれも単独指名。前田健を指名した06年高校生ドラフトは、12球団中1球団だけが一本釣りという、ドラフト史上初の出来事だった。松田オーナーは「名前はなくともクオリティーの高い選手を取る。あとは、その才能をどれだけ育てられるか」と語る。

 広島には財産がある。監督を含めコーチ陣はほぼOBだ。鈴木本部長は「球団を理解している人でなければ、理解を得られない」と説明。補強を強要するような指揮官では務まらない。1軍でも、個の力を育てるのもコーチの役目。現役時代から練習の虫だった緒方打撃コーチは、試合後も練習に付き添い、ナイター後、球場を去るのは深夜12時を回ることもある。

 その中でオリックス2軍監督を退任した新井宏昌氏が打撃コーチに就任。03年松原誠氏以来の外部招聘(しょうへい)に、松田オーナーは「新井さんが大きかった」と効果を語る。濃い血と、新たな血が化学反応を起こした結果だった。