「最後のサムライ」「孤高の天才打者」と呼ばれたスラッガーが球界を去る。広島前田智徳外野手兼打撃コーチ補佐(42)が27日、プロ24年目の今季限りで現役を引退することを発表した。
前田智の引退表明に、カープナインも驚き、惜しむ声が続々と上がった。引退試合と銘打たれる10月3日中日戦(マツダスタジアム)で登板見込みのエース前田健太投手(25)が「しっかり目に焼き付けたい」と話すなど、ナインは勝利で天才打者の花道を飾るつもりだ。
今日28日のヤクルト戦(神宮)に備え、名古屋から東京入りした広島ナインにも、前田智引退の衝撃は瞬く間に広がった。
今季ブレークした丸は、同じ左打者の前田智からアドバイスをもらってきた。「入団したときからずっと見ていました。目標と口にするのも恐れ多い存在で、しっかりした技術と考え方で、多くのことを教えていただきました」と“師匠”の引退を惜しんだ。
ベテラン左腕菊地原は、11年にアキレスけんを切る重傷を負った。そこから復活するため、同じ箇所の故障に苦しんだ前田智にアドバイスを求めている。「僕が(復帰を)急ぐ様子があると、焦るなと何度も言ってもらった。今、こうしてやれているのもそう言ってもらったおかげかもしれません」とやさしい励ましに感謝した。
前田智とはオフにゴルフをともにするなど親交が厚い石井内野守備走塁コーチは、CSに出場してほしいと願う。「今年1年というのがあったと思うが、それだけにこの1年を全うして終われなかったのが残念。個人的には、引退試合じゃなく、CSの舞台に立たせてあげたい気持ち」と惜しんだ。
エース前田健は「びっくりしました。すごく残念ですが、とても偉大な選手ですし、一緒にやれたことは光栄です」と話した。前田智の引退試合となる10月3日中日戦で先発する見込みで、自然と気合も入るようだ。
26日の中日戦(ナゴヤドーム)でライナーが右膝下を直撃し、痛みをこらえて5回を投げた。本人は「大丈夫ですよ」と軽症を強調。順調なら大先輩の花道をエースが飾ることになる。「投げるなら、しっかり目に焼き付けたいと思います」と偉大な打者の最後の勇姿を見届け、勝利で送り出すつもりだ。【高垣誠】



