右肩関節唇損傷で離脱していた日本ハム斎藤佑樹投手(25)が今日2日、オリックス戦(札幌ドーム)で、復活に向けた先発マウンドに上がる。1軍マウンドは昨季の日本シリーズ第5戦以来335日ぶりで、先発としては昨年10月5日楽天戦以来、362日ぶり。1軍に合流した1日は、ブルペンで約40球を投げ最終調整。来季の完全復活へ向けた、大きなステップにする。

 斎藤の復帰を知らせる予告先発のコールに、スタンドはどっと沸いた。この日楽天田中が立っていたそのマウンドに、右肩関節唇損傷から戦列に戻ってきた斎藤が上がる。「楽しみですね。自分が今持っているもの、出せるものを出す。それ以上でも以下でもない。待ってくれていたファンも多少はいると思うし、今の肩の状態はこんな感じですというのを見せられれば」。拍手の大きさは、多少ではなく、大勢のファンの期待を伝えていた。

 今季初めて足を踏み入れた本拠地札幌ドーム。斎藤は以前と同じように、ひとりでグラウンドに現れ、投手練習が行われる中堅後方の一角を目指して歩いた。「(気持ちは)変わらないですね。気負わずにやっていきたい」。ブルペンでは約40球の調整。胸に去来する個人的な感情は封印し、平常心のままに最終準備を整えた。

 乗り越えてきた道は、想像を絶するほど、苦しく、険しかった。昨秋に発症した右肩痛。最初は軽い気持ちで考えていたが、キャンプインを迎えてもおさまらず、徐々に事の重大さを知った。焦り、不安…。思うように進まないリハビリに、心が折れかけたこともある。だが復活を信じ、耐えた。体に染みこんでいた投球フォームも、大きく改造した。苦闘を知る栗山監督は「責任は感じている。(このまま戻れないことを)覚悟していたところもあった。感慨深いものがある」と努力を認めた。

 1軍マウンドに立つのは、昨年の日本シリーズ巨人戦(11月1日)以来。同監督は「本当に肩が大丈夫なのか、ここ(1軍)で投げてみないとわからないと思う。(復活への)最後のテスト」と位置づける。エースナンバーを背負う、斎藤の思いも同じ。「ここがゴールだと思っていない。(内容が)悪くても、(来年のキャンプまで)4カ月で修正ができる。よくても、そこにプラスアルファしていける」。視線の先は、来季の完全復活。そのための、大事な一歩を踏み出す。【本間翼】<斎藤の復帰登板まで>

 ◆12年10月5日

 楽天戦(札幌ドーム)で先発し、5回途中6失点で降板。5勝でレギュラーシーズンが終了した。

 ◆同11月1日

 日本シリーズ第5戦(札幌ドーム)に5番手で登板。巨人相手に2回2失点。

 ◆同18日

 侍ジャパンに選出されたが、16日に続きキューバとの強化試合の登板を回避。日本シリーズ中から右肩に異変を感じていたため。

 ◆13年2月1日

 3年目で初の2軍キャンプスタート。前日1月31日に右肩痛の原因が右肩関節唇損傷であることが判明し、投球フォームの見直し作業が始まる。

 ◆同5月12日

 捕手を座らせての投球練習を再開。

 ◆同6月22日

 2軍のフューチャーズ戦(鎌ケ谷)で実戦復帰の先発登板。2回1安打無失点だった。

 ◆同9月27日

 イースタン・リーグDeNA戦(横須賀)に先発し、2回1安打無失点。栗山監督が10月2日の復帰登板を明言。