<セCSファーストステージ:阪神4-7広島>◇第2戦◇13日◇甲子園

 レギュラーシーズン3位の広島が、2位阪神を破り、2連勝でファイナルステージ進出を決めた。1点を追う6回にキラ内野手(29)とエルドレッド内野手(33)の適時打で逆転。2番菊池涼介内野手(23)が2犠打1犠飛とつなぎ役に徹すれば、二遊間でコンビを組む梵英心内野手(33)も刺激を受け、2安打&好守で貢献した。若い力と中堅、ベテランの力が融合。16日からは東京ドームで、日本シリーズ出場切符をかけて巨人と激突する。

 若手と中堅、ベテランの力がかみ合い、阪神を圧倒した。1点を追う6回。口火を切ったのは広島躍進の象徴的存在・菊池だ。先頭打者で阪神メッセンジャーから中越えの二塁打。梵が送って、キラ、エルドレッドの適時打で逆転に成功。菊池は2度の送りバントも確実に決め、8回には犠飛で6点目もたたき出した。

 「メッセンジャーには18(打数)の1(安打)だったので、何も考えずにいきました」と無心で臨み、快打につなげた。守っても4回2死から、投手バリントンの足元をかすめセンターへ抜けようかというゴロに追い付き、アウトにする美技。「マウンドではねたので行けると思った。普通のプレーです」と冷静に振り返るのが心憎い。

 野村謙二郎監督(47)は菊池について「陰のMVPだと思っている。あいつは、いくつも失点を防いだ。打点に換算すれば、守備だけで30打点くらいはいく」と高く評価する。失策数は二塁手でリーグ最多だが、補殺数528でセの二塁手記録を更新し、併殺も115とダントツだ。石井内野守備走塁コーチも「身体能力の高さと脚力、無理な姿勢からでも投げられる肩の強さやボディーバランスは素晴らしい。型にはまらない新しい二塁手像を作れるのでは」と期待する。

 2日前に33歳になったばかりの梵も負けていない。7回に適時三塁打。9回には右安打と敵失で二塁まで進み、タッチアップで三進して暴投で生還した。フル出場の梵は「若い選手の成長したプレーを見ると、それに引っ張られる感じ」と若手に刺激を受けたことを明かした。8回には28歳と中堅の小窪も、代打で2点三塁打しガッツポーズを見せた。「無我夢中でした。(ポーズは)勝ちたい思いが出ました」と笑った。

 互いが刺激を受け、チーム内で化学反応が起きている。シーズンでは8勝14敗2分けと巨人に負け越したが、今の勢いは分の悪さもかき消すはずだ。最高のムードで、東京へ向かう。【高垣誠】