<セCSファーストステージ:阪神4-7広島>◇第2戦◇13日◇甲子園
CS初出場の広島が、阪神を相手に2連勝でファーストステージを突破した。ターニングポイントは2回1死一塁での守備だ。左翼を守っていたブラッド・エルドレッド内野手(33)が好捕で併殺を完成。打力を期待されている助っ人が、野村謙二郎監督(47)も驚く好守で流れを引き寄せた。16日からは東京ドームで、日本シリーズ出場切符をかけて巨人と激突する。勢いのままに、覇者ものみ込んでみせる。
信じるものは救われる。野村監督の祈りに、エルドレッドが応えた。指揮官が「あれは、ビックリ」と驚いたビッグプレーは、予想外の分野だった。
2回1死一塁の守備。藤井彰のライナーがエルドレッドの頭上を襲った。伸びる打球に全力で背走。フェンス手前で196センチの巨体を宙に浮かせた。左手を懸命に伸ばすと、グラブに打球が吸い込まれた。そして、フェンスに激突した後、素早く中継に転送。安打を確信していた一塁走者の坂は戻りきれず、ダブルプレーの完成だ。初回に西岡の先頭打者弾が飛び出て奪われた流れを、巨漢が引き戻してみせた。
エルドレッド
いい読みで、いいジャンプが出来た。身長もあるので、何とかいい判断が出来たね。
野村監督は先を見据え、エルドレッドを信じ、覚悟を決めていた。CS争いが佳境を迎えようとしていた8月30日の甲子園。中継ぎで活躍していたソコロビッチが右肩痛を再発。1つ空いた外国人枠に、周囲は同球場で相性のいいルイスを進言したが、指揮官が指名したのがエルドレッド。この時点で打率2割3厘、6本塁打、16打点。右手の骨折があったとはいえ、再昇格は賭けとも言えた。それでも、信念を曲げなかった理由がある。「ウチには大きいのを打てる選手がキラしかいない。だから、3回三振してもいいから、4回目でガツンと打てる選手がほしかった」。接戦が増える中で、長距離砲の存在は必要不可欠だった。
かつて、メジャーに一番近い男と言われた指揮官は、今でも早起きをした朝は、メジャーリーグ中継を観戦する。パワフルなプレーを目の当たりにし、理想とする「打ち勝つ野球」に思いをはせる。そして今年、就任4年目で1つの悲願を達成した。「シーズンの得点(557点)が失点(554)を上回ったんだよ。たった、3点だけどね。でも、これだけとは思っていた」。勝負の9月にチームは15勝7敗1分け。シーズン終盤に打線をけん引した、エル&キラの存在が大きかったことは言うまでもない。
エルドレッドは、6回2死三塁で、決勝左前打を放ち“本業”でも大仕事。「東京ドームでも勝って、広島に帰りたいね」とファイナルステージ突破を力強く宣言。一方で、野村監督は「挑戦者として、巨人の胸を借りるつもりで行く」と謙虚に口にした。だが当然、思いは心中を覚悟した助っ人と同じだ。【鎌田真一郎】



