谷繁イズムの詰まった中日の秋季キャンプが1日、ナゴヤ球場でスタートした。初日からぶっ続けの8時間練習で幕開け。投手は走り込み、野手はバットを振り続けた。谷繁元信兼任監督(42)は「故障したら故障したでしっかり治せばいい」と極限まで追い込む鍛錬の場になると予言した。谷繁流の地獄キャンプは24日まで行われる。

 暗闇に疲れ切った若手の顔が浮かび上がった。目がうつろで足元はふらふら。誰が誰かも判別がつかない。外はすでに真っ暗だった。午前10時から始まった練習が終わったのは午後6時。練習時間だけでも昨年の1・5倍だった。

 最後まで若手の打撃練習を見つめ、球拾いを終えた谷繁監督は満足そうに車に乗り込み帰宅した。おそらく球界最長となる長い、長~い秋季キャンプがナゴヤ球場で幕開けした。

 始まりは、静かだった。グラウンドに落合GMをはじめ、谷繁監督、コーチ陣が集結。コーチ陣が紹介されると、最後に谷繁監督が「来年に向けて、意味のある1カ月にしてもらいたい」と呼びかけた。静かだったのはここまで。この言葉を合図に地獄キャンプのゴングが鳴った。

 野手はティー打撃と打撃練習で1時間近くもバットを振り込んだ。投手も故障者を除いては走り込み中心のメニューが組まれた。指揮官が信頼を寄せる新たなスタッフが各部門の選手を呼び寄せて、ほぼマンツーマンで指導するなど濃密な練習が続いた。谷繁監督のコメントが本気度を証明している。

 「故障したら故障したで自分でしっかり治せばいい。プロですから」

 極端なことを言えば、ケガをしたって構わない。どれだけ極限まで自身を追い込めるか。それが成長につながると確信しているようだ。

 初めて竜のユニホームに袖を通した達川バッテリーコーチは「谷繁監督の熱いものを感じた。ワシが言うのもなんじゃけど、本気だなと感じた」と驚きの声をあげた。カープ流の猛特訓を知る男ですら感嘆するほどの量と質。谷繁監督率いる新生ドラゴンズが激しくスタートを切った。【桝井聡】