マンモスで胴上げ投手!!
阪神に新加入した呉昇桓(オ・スンファン)投手(31=韓国サムスン)が12日、甲子園球場を初めて訪れた。4万7757人を収容するスケールの大きさに驚き、気持ち新た。優勝を導く決意を語り、人生初の「胴上げ」投手に思いを巡らせた。今季までサムスンで3連覇をなし遂げた右腕は、異国で「1人4連覇」に挑む。
薄暗い廊下を通り抜けると、大パノラマの野球場が視界に飛び込んできた。覆いかぶさる銀傘、高々とそびえる観客席、そして緑のフィールド。ここが甲子園だ。呉昇桓は思わず武者震いした。異国でのチャレンジを前にして、韓国最強クローザーは言う。
「甲子園はテレビでしか見たことがなかった。球場に初めて来て驚いた。観客席が大きく見える。ファンで満員になっているのを想像すると楽しみになってきた。お客さんがいるなかでセーブを挙げる姿をイメージしているところです」
甲子園が壮大に映った。無理はない。韓国球界の本拠地ではロッテの釜山社稷(サジク)野球場の約2万8000人などが最大級。4万8000人近くをのみ込む甲子園は母国にないスケールだ。「マンモス」と称される威容は、プロ冥利(みょうり)に尽きる環境だろう。
「韓国では3年連続優勝してきたし、自分自身は4年連続の優勝も狙っていきたい。マウンドで優勝の瞬間に球を投げるのは韓国でもやってきました。ここでも、今からやっていきたいですね」
夢はでっかく「V4&胴上げ投手」だ。韓国サムスンで今季まで3連覇。日本でも頂点を譲る気持ちは少しもない。韓国では優勝時に胴上げする慣習が浸透しておらず「テレビで見たことはあるけど…。考えたことはない」と戸惑う。韓国人の胴上げ投手は99年の中日宣銅烈(現KIA監督)がいる程度。呉昇桓は「それよりも監督、コーチ、選手たちに信頼してもらうのが一番大事」と言う。韓国球界最多の277セーブを重ねても日本では未知数。威勢の良さはなくとも、地に足がついた発言が頼もしい。
10日に来日したばかりだが、ちょっとだけ日本語も話せる。「ナンデヤネン!
ホンマデッカ!」と口ずさむと笑いも起こった。今日13日、大阪市内ホテルで入団会見に臨む。日本の虎党よ。力強い所信表明を聞いて、呉昇桓の胴上げを夢見よう。【酒井俊作】
◆胴上げ
多勢で人の体を横にして何回も空中に投げ上げること。スポーツの勝者や入学試験の合格者らを祝福し、喜びを分かち合う。由来は諸説ある。発祥とされる長野・善光寺では年越しの祭事で行う。プロ野球の監督胴上げでは近年、その回数が注目される。



