新生「ロッテ涌井」がエースキラーに任命された。西武からFAでロッテ入りした涌井秀章投手(27)が25日、千葉市内のホテルで入団会見を行い、西武時代の恩師でもある伊東勤監督(51)から「各チームのエースと対戦させたい。それで勝てる投手」と大役を授かった。

 今季は3年ぶりのAクラスも10勝投手はゼロ。天王山を任せられる柱がいなかった。だが涌井なら、先発の軸になれると評価された。シーズン中無敗を誇った楽天田中のように「日本を代表するレベルにきている。まずは16勝を目標にやってほしい」。プロ入団時もつけた背番号と同数の勝ち星を注文されると、もの静かな右腕もキッパリ答えた。「(エース対決に)燃える気持ちはこっそり持っている。ここ2~3年の成績で大丈夫かという声もありますが期待に応えたい」。

 実績ある沢村賞投手の加入は、投手陣のカンフル剤になる。「涌井さんをローテから追い出すつもりでやる」と言った自主トレ仲間の唐川に対し、「からあげ君、自分が逆に追い出してやろうかなと思います」と、早くも火花バチバチ。「地元千葉のために頑張りたい」と話すと、伊東監督からは「来季は優勝を意識して戦える。今季あと1歩足りなかった部分が埋まった」とV宣言が飛び出した。

 西武時代から気心知れた師弟コンビは、すでに息ぴったり。涌井は「実際に球を受けてほしいですし、監督もしっかり体をつくってきてほしいです」とまさかの逆指令まで飛ばした。エースキラーが2ケタ勝利を積み上げたとき、ロッテは05年以来のリーグ優勝になっているはずだ。【鎌田良美】