優等生になりました?

 米国で妻への監禁と暴行の疑いで逮捕され、保釈中のヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)が28日、成田空港着の航空機で来日。米マイアミからの機中では、DeNAの新外国人ギジェルモ・モスコーソ投手(30=ジャイアンツ)と隣同士となり、日本野球についてアドバイスを送ってきた。裁判で調整は遅れているが、2月1日からの沖縄・浦添キャンプに間に合った。今日29日に会見を行い、30日にはチームと同便で沖縄に入る。

 バレンティンは上下黒のスエットに東京タワーの模様が入った黒い帽子をかぶり、ニコニコ笑顔を見せながら到着口に現れた。タクシーに乗り込む際には少し立ち止まり、「日本に来られて良かった」と答えた。

 マイアミからダラスを経由しての約20時間に及ぶフライトも、DeNAモスコーソと一緒だったこともあり快適な旅だった。米国で後見役を務めてきた奥村国際担当次長は「何で彼を取らなかったんだって言われて、返事に困りました」と苦笑い。それだけ機嫌はよかった。ダラスでは3人でメキシカン料理店に入りオーダーしたが、すぐ搭乗のアナウンスが流れたため、慌ててテークアウトにして機内に持ち込むドタバタ劇も。この際には先輩のモスコーソにごちそうになった。

 日本球界では「先輩」でもあり、機中では日本での遠征スケジュールや球場の特徴などをアドバイス。モスコーソは「横浜は一番きれいなところで、球場が狭いこと、夏が暑いことなども教えてもらった」と話した。マイアミのお互いの自宅が車で15分ほどの至近距離にある知り合いだった。

 マイアミでは、衣笠球団社長の指示で、奥村次長が持参した日本の新聞を手にした。1面で大きな見出しで報道されていた。「騒ぎになっちゃっているね」と奥村次長に話し、改めて日本で大きな波紋を呼んでいることを理解した。

 逮捕、勾留、審理などで調整の遅れは否めない。そんな厳しい環境の中で時間を見つけ、パーソナルトレーナーと体は動かしてきた。「打撃も少しやってきた。キャンプでは十分に時間があるから、十分に調整できる」と、不安は見せない。29日に会見を行い、ファンに向けてけじめをつける。そして30日にはチームと同便で沖縄に向かう。「あとは明日、プレスカンファレンス(記者会見)で」と言ってタクシーに乗り込んだ。2月3日(米国時間)にある次回の審理は現地で弁護士が対応する。5月には離婚裁判に出廷するため5日ほど一時帰国をしなければならないが、まずは開幕に向けて調整を進めるだけだ。【矢後洋一】<バレンティン経過>

 ◆逮捕

 13日(米国時間12日)、米フロリダ州マイアミ近郊の夫人宅で、カルラ夫人への監禁・暴行容疑で逮捕。

 ◆発覚

 14日(同13日)、事件が公になり、ヤクルト球団が会見を開く。

 ◆渡米

 15日(同14日)、バレンティンをスカウトした奥村編成部国際担当次長が緊急渡米。

 ◆保釈

 16日(同15日)、5万ドル(約525万円)の保釈金支払いと夫人への接触制限を条件に保釈。

 ◆会見

 17日(同16日)、マイアミのホテルで謝罪会見。「出直しのチャンスを下さい」と深々と頭を下げた。

 ◆出廷

 24日深夜(同24日)、マイアミの裁判所に出廷。日本への渡航が許可された。

 ◆ビザ取得

 25日、都内の球団事務所で衣笠球団社長が会見。バレンティンが極秘裏にビザを申請し、23日に取得していたことを明かす。