新鉄人が、まさかのリタイア1号となった。阪神の宜野座キャンプで5日、鳥谷敬内野手(32)がダウンした。発熱による体調不良を訴えて、キャンプ地から病院へ直行。インフルエンザA型の陽性反応が出たため、そのまま宿舎で静養した。歴代3位の1322試合連続出場中の主将の、珍しい離脱。チームリーダーが数日間、全体練習に合流できない状況となった。

 主将が消えた。午前10時、普段はウオーミングアップから引っ張る鳥谷が、ランニングの輪にいなかった。1時間前から早出の筋力トレーニングに参加していたが体調不良を訴えた。全体練習が始まったころ、メーングラウンドから離れた駐車場にマスク姿でいた。宜野座村内の病院で発症を確認。球団は宿舎や球場で万全の対策を施してきたが予想外の離脱になった。

 周囲も驚くダウンになった。鳥谷は昨季、球界で唯一の2年連続フルイニング出場を果たした。新人だった04年9月から続ける連続試合出場は1322試合まで伸びている。「鉄人」と呼ばれた元広島の衣笠祥雄氏(2215試合)と元阪神金本知憲氏(1766試合)に次ぐ歴代3位。ハードに動く遊撃を守りながらプロ入り後も屈強な肉体へ鍛え上げ、歴史に残る立派な数字を残している。

 和田監督も「鉄人の域に入ってきている選手だからね。不摂生しているわけじゃないし。誰でもなる可能性があるということ」とビックリだった。近年は腰椎部分を骨折しても、右手人さし指を負傷しても欠場しなかった。練習の虫としても知られ、試合だけでなくキャンプでグラウンドにいないことは珍しい。

 今季は憧れのメジャー移籍も視野に入れながら、残留を選んだ。昨季2位に終わった悔しさとともに、9年ぶりのリーグ優勝と、29年ぶりの日本一への夢を追った。キャンプ初日の1日はベースランニングで本塁へ猛烈なスライディング。クールなリーダーが「オッシャ!」と気合を込めて鼓舞した。2日のランチ特打では、ほとんど打ち損じなく、15本の柵越えで順調な滑り出しを見せていた。

 球界でもはやるインフルエンザA型は3日程度で回復へ向かうと言われる。幸いにも開幕まで2カ月近く残すキャンプ序盤、さらに今日6日は休日だった。第1クールを「鳥谷、西岡、マートンの状態の良さが目立った」と総括した和田監督は「3~4日は休まないと。この時期で良かったと思うしかない。体という点ではできあがっているからね」と前を向いた。来日延期になったゴメスに続く、鳥谷のダウン。虎のキャンプに光が差し込まない。

 ▼鳥谷キャンプでも鉄人

 チームから完全に離脱するのはプロ11年目で今回が初めて。過去に2度、負傷で別メニューになったことはある。新人年の04年2月7日、特守で打球を右手中指に当ててつき指、出血を伴うアクシデント。骨折の疑いもあったが2日後のエックス線検査で「骨に異常なし」と診断された。2度目は09年2月12日、特守で右手薬指をねんざしたが軽症。打撃と送球以外はメニューをこなした。