下手くそですから。広島堂林翔太内野手(22)がキャンプ休日の10日、宮崎・日南市内の天福球場でマシン打撃に励んだ。休日返上で約1時間打ち込み、今日11日からの第3クールに備えた。評価急上昇中のドラフト3位田中広輔内野手(24=JR東日本)も三塁レギュラー争いに参戦する中、まずはフォーム固めから定位置確保を狙う。

 雨音が響く暗がりの室内練習場に明かりをともした堂林が、せっせとマシンにボールを詰めた。数人の報道陣以外、誰もいない空間。午後2時から約1時間、黙々と打ち込んだ。

 「どうせ、やることもないですから。下手くそなりに、やることはやらないといけないんで」

 前日9日はチーム初実戦となった紅白戦に1番三塁で先発した。今村から中堅左に二塁打を放つなど3打数1安打。一応の結果は残したが、「間が取れていない。タイミングが取れていない中、交通事故で打てたようなもの。内容は全然ダメだった」と振り返る。宿舎に戻った後、フォーム映像を確認したところ、体重が右足に残り過ぎ、と確信。偶然、隣にいたキラからも携帯電話の英語翻訳機を駆使してアドバイスをもらい、休日返上で微修正に取り組むことを決めた。

 日南キャンプで軸足に体重を乗せるフォームを固めている途中。ただ意識し過ぎると、体のバランスが崩れてタイミングが取れなくなる危険性がある。「軸足に乗せ過ぎず、ある程度は左足にも体重を乗せないと。結局はタイミングですから」と説明。打ち込みの途中、カメラマンに2度の動画撮影を頼み、体重移動のバランスを確認した。

 「打てなくても、自分のスイングができていればいいんですけど。今の僕はピッチャーに打たされすぎ。内野手が打っていると、ゆっくりしていられないと思う。そういう気持ちにならない方がおかしい」

 ドラフト3位田中がシート打撃や紅白戦で評価を高め、三塁レギュラー争いに参戦。右肘手術からの復活を期す一塁手栗原は紅白戦で二塁打2本を放ち、有事に備えて三塁守備も練習している。自分の立場は痛いほど分かっている。

 「1軍で3年目。去年はケガ(左手骨折)で終わった。自分で(定位置を)取りにいかないといけない」

 努力は裏切らない。そう信じて、野球漬けの毎日を送っている。【佐井陽介】