日本ハム大谷翔平投手(19)の二刀流の是非論に、元メジャーリーガーが潜入した。大リーグで2度の世界一経験を持つ前オリックス田口壮氏(44)が12日、沖縄・名護キャンプを訪問し、大谷らを視察した。投手か野手かに絞るべきとの世論が多数を占めるが、多角的な観点から2年目の今季も継続すべきと提言。二刀流で完全燃焼してから、夢の米球界挑戦は十分に可能と結論を出した。

 躍動する姿を焼き付け、確信はさらに強くなった。田口氏は室内練習場で投手メニューをこなし、フリー打撃も行う大谷を目で追った。カージナルスとフィリーズで世界一を2度経験している、ただ1人の日本人選手。大谷が将来的に憧れる本場で成功を収めた1人だ。投手か野手への一本化を唱える球界OBが多い中で、その論議に潜入してもらった。

 田口氏

 投手と野手の両方で、いけるところまでいってみるべきだ。1年目の昨季やり始めたことなんだから、何年とかも決めることなくやった方がいい。投手コーチだったら「ぜひ投手で」、打撃コーチだった「ぜひ野手で」というような才能のある選手だから。

 結論は明確。挑戦の続行との数少ない二刀流の推進派だった。

 大谷が夢見るメジャー挑戦への遠回りになるのではないか。そんな世論も少なからず渦巻いている。果たして、そうなのか。田口氏には冷静な視点があった。

 田口氏

 投手と野手のどちらかに絞ったとしても高卒の選手が一流になるには、何年かを必要とする。大谷君が2年目の今年、どちからに決めたとしても一流というレベルになれるか、ということ。だから可能性がある両方を、まだしっかりとやってみていい。

 野茂氏も、イチローも、松井氏も、ダルビッシュも、今季からヤンキースでプレーする田中も…。すべて国内で「一流」の域へ上り詰め、ステップアップしていった。田口氏は「球団、現場は当然リスクがある」と全体のチーム編成に及ぼすマイナス要素も指摘したが、豊かな将来性を持つ大谷の背中を押した。

 田口氏

 順調に成長しているし一生懸命に頑張ろうとしている。それでいい。周りの意見は気にせず、自分のことなんだから、大谷君が自分で決めればいい。

 自身のキャリアを踏まえ、熱く語った。二刀流の是非論に潜入してもらった結果は、かたくななまでの「賛成」だった。【高山通史】